昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

【ポスト安倍を辛口採点 三浦瑠麗】“哲学者”岸田3.0、“一匹狼”河野2.5に対し、菅、石破が3.5の理由は?

2020/08/30

 歴代最長となる政権を担った安倍晋三首相が8月28日、体調不良を理由に突然の辞任を発表。今後の焦点は「ポスト安倍」の行方に移った。コロナ禍、東京五輪、経済対策など課題が山積する中で、次期宰相には誰がふさわしいのか。

「文春オンライン」では、各界の識者に連続インタビューして、「ポスト安倍候補」を5点満点で採点してもらった。今回は、国際政治学者の三浦瑠麗氏に聞いた。

三浦瑠麗氏 ©文藝春秋

◆◆◆

石破茂 ★3.5 「安倍さんと違うのはアメリカとの距離」

 石破さんというと、対中国戦略から防衛装備の細部まで安全保障政策や憲法問題に詳しいという印象があると思いますが、これらの政治課題はすべて彼が長年重視してきた政治テーマ「日本の自主自立」につながっています。

 安倍さんとの明確な違いは、「アメリカとの距離感」。安倍政権では、アメリカともう一歩踏み込んだ緊密な関係を築こうとする外交政策がとられてきました。議論を巻き起こした集団的自衛権の問題だけでなく、2016年のオバマ大統領の広島訪問、安倍首相の真珠湾訪問も、日米歴史和解の総仕上げとして両国の距離を深めることになりました。一方で、日本は先進国の中で米国に安全保障を最も依存しており、脆弱性を抱えています。

石破茂氏 ©文藝春秋

 石破さんは、外交でも自主性をより重視する傾向にある。日米同盟強化を否定するわけではありませんが、常にアメリカに同意するわけではないというスタンス。アメリカが内向きになり、国際的に大きな変化が起こっている現在、日本はアメリカに対して外交政策上の「幅」を生み出せる可能性がある、というわけです。

 石破さんは現時点で世論調査の結果はいいですが、心配なのは政策にこだわる分、党内の味方が少ないこと。情熱を向ける政策とそうでない政策の濃淡ははっきりしています。安倍政権が8年近く続いた大きな要因のひとつは、安倍官邸がチームとして実力も経験も揃った盤石な条件で政権運営を続けることができたからです。そうした党内統治や権力掌握度を比べてしまうと、どの候補者も物足りなくなってしまいますが、特に石破さんの場合は、まずは党内で周りを巻き込めるのかに懸かっています。