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2020/08/30

小泉進次郎 ★3.0 「“普通”の人と感覚がズレていない」

 日本の政治家はエリートタイプもいれば、親しみを売りにするタイプもいます。親しみを売りにするタイプの人の中には、いわゆるごりっとした押し出しの強いタイプが少なくない。エリートタイプの中には、東大法学部を出て、財務省や巨大商社で働いて……というような、実際に「いかにも」なコースを歩んできた人も少なくなく、その狭いサークルの中では圧倒的な信頼感を得られますが、言葉が伝わらない場合も多い。

 ところが、進次郎さんはそのどれとも違います。アメリカに留学して政治学を学ぶなど、「政治家のプリンス」がやりそうな経験はしていますが、「普通の人」の肌感覚でほとんどのことを把握するタイプです。国際会議での「セクシー」発言が話題になったり、「当たり前のことを言っているだけの話し方」と揶揄されたりすることもありますが、要するにそれは、もともと無理をせずともくだけた人であり、普通の人が思う感覚とズレたことは言っていない証拠とも言える。

小泉進次郎氏 ©文藝春秋

 保守あるいは中道の「普通」の感覚というのは、長年、自民党が大切にしてきたものです。独特のカリスマ性ばかりに目がいきがちですが、こうした「普通」の人たちと感覚がズレていないことが、彼の政治家として重要な特性です。

 ただ、実際に首相の座を狙うには準備が整っていません。今小泉さんが代表できるのは「世代間の不公平」まで。環境問題ではどうにか日本の現状を変えようと、新しいことを取り入れる意欲を見せるのですが、それが地方の有権者にまで浸透するのには時間がかかる。環境大臣とは言っても、環境にかかわるエネルギー問題では、経済産業大臣を飛び越えてできる事は少ない。小泉さんの意欲に対して、小泉さん自身の立場や経験、それをサポートする体制といった条件が追いついていないのも問題です。

 仮に条件が揃った5年後や10年後に政権を担えば、いま語られている「ポスト安倍」の候補者たちよりもずっと安定した長期政権に化ける可能性もある。ただ、「いま、ポスト安倍として政権を担う」という意味でやめた方がいい。その意味でのポテンシャルを含めた★3つです。