1ページ目から読む
2/6ページ目
岸田文雄 ★3.0 「手堅いが、小難しさが抜けない」
NHK「日曜討論」で話す岸田さんの姿を見ていると、ミスのない発言が続き、資料を自らしっかり読み込んでいることがうかがえ、勉強熱心という意味では石破さんと似ているようにも思えます。
ただ、性格や話し方は対照的です。言葉をぶつける形で乗り出して話す石破さんに対して、岸田さんは常に落ち着いたトーンで語りかけ、人を「あおる」こともない。いかにもエリート然とした言葉や振る舞いが、テレビを通じても伝わってきます。
実際の政治の場面でも、岸田さんはそうしたエリート的正しさの実現を目指しながら、理想と妥協できるラインをすりあわせていく「現実的ハト派」。安全保障関連法をめぐっても、集団的自衛権容認に向かう内閣の中でバランスをとりながら、外務大臣として活躍しました。常識を大切にし、理想も持ち、バランス感覚のある、手堅い政治家だと思います。
あとは、この“エリート・イメージ”がどこまで世間に受け入れられるのか。メディアでの発言も「哲学者」のような話しぶりで小難しさが抜けていない。実際、岸田さんと近いと言えるような人は限られ、彼が何を考えているのかパブリックに伝わることも少ない。多くの人の心に訴えかけるようなメッセージを発信できなければ、首相になっても一部のエリートにしか受け入れられず、すぐに限界に直面するでしょう。