歴代最長となる政権を担った安倍晋三首相が8月28日、体調不良を理由に突然の辞任を発表。今後の焦点は「ポスト安倍」の行方に移った。コロナ禍、東京五輪、経済対策など課題が山積する中で、次期宰相には誰がふさわしいのか。
「文春オンライン」では、各界の識者に連続インタビューを行い、「ポスト安倍候補」を5点満点で採点してもらった。今回は、政治解説者の篠原文也氏に聞いた。
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菅義偉 ★4.8 「弱点は派閥を持っていないこと」
今、日本はコロナ禍のただ中にあります。この国難の非常事態が続く状況で、最も必要とされるのは「政権の継続性」です。その観点から、これまで安倍首相の側で政策を仕切ってきた実績のある菅さんはポスト安倍のなかで最も適任だと言えます。私は、前々から総裁選で菅さんが中心候補になる可能性があると申し上げてきました。
菅さんは最近の自民党では数少ない叩き上げの「プロ政治家」です。世襲議員にはない経験に裏付けられた決断力と実行力、危機管理能力は政治家としての強靭性に繋がっています。
「アベノミクスが継続され、特に菅政権で成長戦略が進む」と市場、マーケットに好意的に見られているのも強みです。
弱点は、内に自派閥を持たず、確たる政権基盤を有していないことですが、そこは関係が良好な二階俊博幹事長率いる二階派の協力を仰ぎながら政権を運営していくことになるのでしょう。安倍首相の下、長らく官房長官を務めてきたこともあって、菅さんには「軍師」のイメージがつきまといます。これをどう払拭するかも課題です。豊臣秀吉の軍師であった黒田官兵衛が晩年天下取りに乗り出したことと菅さんの姿が私には二重写しに見えます。