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明石家さんまは“高齢者キラー”

 次は世代別に人気の分布を分析してみたい。前回までは総合ランキングのみを公開してきたが、実は、このランキングは世代によって大きな散らばりがあったのだ。

 

 まずは10・20代のランキング。いずれも1位はサンドウィッチマンだが、10代のみで集計すると和牛が1位、有吉弘行が3位。有吉は、深夜帯などで多くのレギュラー番組を持つ強みを見せつけた。

“深夜”というキーワードで考えると、若い世代でとりわけ目立つのはバナナマンオードリーなど深夜ラジオに出演する面々の躍進。特にバナナマンでは、総得票に占める20代の割合が29.6%。「好きな芸人」アンケート投票全体に占める20代の割合が7.4%であることを考えると、異例の高いシェアとなっている。

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「有吉弘行、中川家、霜降り明星、バナナマン、オードリー、爆笑問題などは、人気のラジオ番組を持っている。ラジオのリスナーは、根強いコアなファンに育つ傾向にある。『私たちだけが面白さを知っている』という思いで、こういったランキングにも熱心に投票してくれるのかもしれません」(ラリー遠田氏)

有吉弘行

 30代でも1位はサンドウィッチマン。2位にダウンタウンが入り、ここでも有吉弘行が3位に入る。「MCをやっても、ひな壇に座ってもトップ。ラジオは世界一面白い。テレビ東京の『有吉ぃぃeeeee!』でみせるのびのびした姿も最高」(男・21)、「TPOをわきまえて番組によって自分を使い分けるバランス感覚がある。ラジオは相変わらず下品で面白い。後輩思いなところもある」(男・34)と、10代から30代までの「有吉人気」が光る結果になった。

 

 40代も50代も、1位はサンドウィッチマン。圧倒的な人気で50代では2位にダブルスコアの差を付けている。この世代では、ダウンタウンも安定的な強さをみせ、

「ネタを見ることが今はないですが、漫才は本当に面白かった。今の若手で勝てるコンビはいないと思う。また舞台で、漫才をして欲しい」(女・48)

 といった、若手の頃から彼らのネタに親しんだ「ダウンタウン世代」からの人気がうかがえる結果になった。

 50代になると、“高齢者キラー”の明石家さんまが2位に浮上。ナイツも6位にランクインしてくる。

 

 60代になると、2位の明石家さんまに続き、これまた“お笑いBIG3”の一角、タモリが3位まで上昇。ナイツも4位に食い込み、安定感のある笑いを売りにしたメンバーが並んだ印象だ。

 ナイツについては、

「古典的漫才フォーマットでかつ、常に面白い。しゃべりのリズムが心地よい。佇まいの良い芸人」(男・61)

「古き芸風からいまどきの笑いまで基本があること。毒の吐き方も綺麗」(男・57)

 などの声が多く、しっかりとした芸を感じ取れるナイツの芸風が中高年に響いていることがうかがえた。

 70・80代となると、満を持して明石家さんまが、サンドウィッチマンを抜き去り1位に。

「彼こそが天才エンターテイナー。彼がテレビの画面から消える日など想像したくない」(男・77)

 といった、高齢者の熱い声が寄せられた。

タモリ ©文藝春秋

 さらに、タモリもこの世代では2位まで浮上。

「『ブラタモリ』でその人格が表れていると思う。落ち着いたユーモアや嫌味のないチクッとした皮肉。さり気ない博識にも感心する」(男・72)

 と、NHK「ブラタモリ」でみせるユーモアや博識ぶりが人気を集めた。

 ちなみに、サンドウィッチマンはここでも3位に踏みとどまっている。総合3位のダウンタウンがこの世代でトップ10入りできていないことを考えると、サンドウィッチマンの幅広い世代にまたがる支持層に驚かされる。