神奈川県横浜市青葉区に住む小学4年生の女児(9)が誘拐され、2日半にわたり車で連れ回された事件。未成年者誘拐の疑いで現行犯逮捕された東京都葛飾区在住で無職の大竹晃史(あきひと)容疑者(38)と被害者の女児の接点となったのは、オンラインゲームだった。
9歳の小学生と38歳の男性がゲームの通話機能を使って連絡を取り、1対1で会い、誘拐に至る。こうしたオンラインゲームを介した事件やトラブルは急増しているのだ。
いまや中高生はおろか、小学生にとっても身近な存在になったオンラインゲームがきっかけとなった今回の事件について、容疑者の母は「児童の誘拐ニュースを見てハラハラしていた」といつ起きてもおかしくない状態だったと語った。
子供はなぜ顔も知らない大人に心を許してしまうのか、そして事件を防ぐ方法はあったのか。子供をネットトラブルから守る活動に従事する全国ICTカウンセラー協会の安川雅史代表理事に話を聞いた。
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子供が親に黙ってスマートフォンを買うケースも増えている
今の子供たちにとって、会ったことのない人とオンラインゲームでつながるのはごく普通のことになってきています。
『Fortnite』や『荒野行動』のような流行っているゲームは、チャットや通話で連携を取りながら同じ目標に向かって協力するものも多くて、信頼関係が築かれやすい。共通の趣味や話題があれば会話も盛り上がりますし、相手が異性なら恋愛感情を持つ子供も少なくありません。
だからネットの向こうにいるのが悪意を持った大人だったとしても、「やばい人」というよりは完全に友達感覚で、会うことにも抵抗がない。
小学生くらいだとまだネットリテラシー教育もちゃんとは受けていないので、危険性すら感じていない子が多いのが現実なのです。
今回の事件は親が使わなくなったスマートフォンを子供に使わせていたケースですが、スマートフォンを持たせていなければ安全とも限りません。最近では、子供が親に黙ってスマートフォンを買うケースも増えているからです。
GEOやTSUTAYAに売っている中古のスマートフォンは、古い型のものだと1000円台で手に入ります。しかも携帯の契約と違って、中古端末を買うだけなら身分証明書は必要ないことが多い。小学生が自分の小遣いで端末を買い、自分の部屋でWi-Fiに繋げばゲームもSNSも出来てしまう。そうなったら監視どころではありません。
家の外でも無料のWi-Fiが飛んでいる場所を知っている子供は多く、コンビニやファーストフード店の前でたむろしていることがよくあります。通信量を節約する目的の子がほとんどでしょうが、中には親に内緒で買った端末を持って来ている子もいるはずです。