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唯一の目的はすべての人々の平等を保障すること

 そこから、どんどん張り詰めた会話になった。「あなた方は」(法案に反対したフォーチュン500社の緩やかなコンソーシアムを指しているのだと思う)次に何をするつもりか、と州知事は聞いてきた。

「この問題の解決に向けて、私たちはどうすれば協力できるでしょうか」と、州知事は言った。

 われわれの唯一の目的は、すべての人々の平等を保障することだと、私は説明した。インディアナ州がすべての人を同等に扱うことに注力しさえすれば、反対の声はなくなる。それほど事は単純明快だったのである。

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 差別的な法案に署名してから激動の6日間を経て、3月31日、ペンス州知事はテレビで記者会見を開き、「認識のズレがある」ことを認めた。その2日後には、顧客の性的指向に基づいて差別することを正当化するために、事業者がこの法律を使用できないとする文言を入れた修正法案に署名した。

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 明らかに私たちの勝利だったが、その成果を「大喜びした」とは言えない。こんな争いは起こらなかったほうがよかったと思う。しかし、こうやってあらゆる階層の従業員が力を結集させたことは誇らしかった。このとき初めて、私たちが築いてきた企業文化の重要性がつくづく身に沁みた。それは会社にとっても、CEOである私にとっても、重要な分かれ目のような気がした。

 従業員たちは基本的に、私を試したと言える。彼らは自分たちが守られ、職場で自由にありのままの自分をさらけ出せると感じるためには、確認しておく必要があったのだ。たとえどんな結果になろうとも、私に信条を貫く覚悟があることを。

社会運動がビジネス面にもたらした支障とは?

 フタを開けてみると、インディアナ州の騒動のせいで、少なくともビジネス面で支障が出ることはなかった。それどころか、その後の数カ月間で、セールスフォースは記録的な売上げと成長を達成し続けた。どちらかといえば、国を挙げて繰り広げられた、米国の社会正義と価値観をめぐる対話のど真ん中に飛び込んだことで、セールスフォースに対する注目度が高まったのだ。

 当時、私が強い信念を表明したことに対して、大勢の人が震え上がった。実業界、特にウォール街の面々は、CEOの責任は企業の敷地内に留まり、いかなる企業リーダーも少なくとも公の場では、政治問題を議論するのを自制すべきだと考えたがる傾向があった。