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8割もの若手が一時期無収入に……

 とはいえ、これでコロナ前同様に……というわけではありません。多くの落語会が、延期・取りやめに。8割もの若手が一時期無収入だったそうです。

 元々、二ツ目よりも前座の方が収入は安定していました。毎日やっている寄席も、二ツ目は当然のことながら出番がなければ呼ばれません。

 出番があっても、もらえるお金はもちろんお客さんからいただける木戸銭(入場料)の割になるので、例えば演者総出、30人で住吉踊りを披露したけどお客さんも30人だった、なんて日には二ツ目がもらえるのは1,000円未満なんてことも。

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 前座は固定給、楽屋に入れば3年目の前座さんで1日1,700円。しかも寄席には基本毎日呼ばれますから……あとは計算してみてください(笑)。

 しかし、今では楽屋も密を避けるということでローテーション制。最低人数で回しているのだそうです。

新宿末廣亭で検温される木りん

食費は浮かせられず、勉強会でも会場費を賄えるかどうか

 他に、若手がいただける仕事と言えば、旅の仕事。つまり師匠方の地方での公演のお供です。

 基本的には自分の師匠のお供に行きますが、一門外の師匠に声をかけていただくことも。僕も春風亭小朝師匠や三遊亭円楽師匠、林家たい平師匠や柳家小満ん師匠に呼ばれて全国津々浦々回りました。

 また、こういった師匠方といる時や先輩方といる時、食事代や飲み代はすべて師匠・先輩方のおごりになります。僕ら若手はこういったことで食費をうまく浮かせていたところもあるのですが、寄席も出番が終わったら楽屋の密回避の為すぐに帰宅、ご飯のお誘いもめっきりなくなってしまいました。

 後ある仕事と言えば独演会や自ら主催する勉強会。

 しかしこちらも小規模の落語会を主戦場としてきた僕ら若手にとっては大打撃。

 客席が20~30人規模の会場だと、そもそも密になるということで開催できませんし、50~100人規模でも客席を間引いた状態(区の施設や会場によって条件は異なるのですが)では会場費を賄えるかどうかという程度。