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2020/09/24

たった一匹で終末を迎えなければならない現実

 アニマルセイブシステムを利用してハッピーハウスに来たあさりちゃんという老犬に出会いました。

 兵庫県で95歳の女性が飼っていて、彼女の死後はお手伝いさんが世話をしていたのですが、そのお手伝いさんも病気になり世話が困難になったそうです。お手伝いさんは文字を書くことも難しかったので、息子が代筆して契約。2018年6月、12歳の時にハッピーハウスにやってきました。14歳になったあさりちゃんは、認知症を患っています。

飼い主が死亡、お手伝いさんがアニマルセイブシステムを利用して預けられたあさりちゃん。認知症を患っているが、嗅覚は残っている

 ハッピーハウスには獣医師もいて、エアコンの効いた部屋や適切な食事が用意されています。立てなくなった犬は老犬介護ルームで暮らすのですが、小さいながらも犬用車いすを使って散歩することができる庭もあります。しかし、スタッフはあさりちゃんの家族ではありません。

 ペットを飼われている読者の方の中には、「子供や親せきが引き受けてくれるから大丈夫」と思っている人や、そもそも「保健所や施設に預けるなんてあり得ない」と思っている人も多いでしょう。甲斐さんは、「ペットも家族、やはり終末は本当の家族に見守られることを望んでいるのではないでしょうか。たった一匹で終末を迎えなければならないのはあまりにも寂しすぎる」と言います。

アニマルセイブシステムを利用したが、環境に適応できず治療中

 2019年にお笑い芸人の小藪千豊さんを起用した厚生労働省の「人生会議」のポスターが、当事者への配慮に欠けると批判され、話題になりました。このポスターでは、いざ命の危険が迫って家族や近しい人に伝えられなくなる前に、ちゃんと自分の意志や考えを事前に伝えておく必要性を訴えていました。

 自分のことだけでなく、一緒に暮らしてきて残されるペットのことも、元気なうちに家族や後見人と話し合い、はっきり意思表示する、遺言を残すことは、自分自身の安心にもつながります。悔いを残さないよう、生きていきたいものです。

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