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彼らから見た日本企業の長所と短所

 業務としては現在、ジョブトレーニングと先輩行員のサポート、銀行業務検定などの各種資格の取得に励んでおり、リュさんの同期は彼を「日本人以上に細かくて、きっちりした人」と評価していた。
「軍隊では上下関係が厳しく、何をするにも上官からは『急いでやれ』と言われます。そして、『できなくてもやる』『できるまでやる』ということを徹底されていました。日本での仕事では、もっと緩めていいと言われるのですが、難しいですね(笑)」

 最後に、そんな彼から見た日本企業の長所と短所を聞いた。

「僕の勤務先に限っていうと、サービス残業がほぼありません。あとは、マニュアルが一元化されていて、部署が違っていてもパッと見ただけで共有できるのが良いと思います。短所は、ビジネスマナーが厳しすぎる点です。敬語の使い分けも、未だに難しいですね。あとは、何事もマニュアルどおりに進めなければならず、手続きにこだわりすぎて融通が利かない点だと思います」

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©︎iStock.com

電機メーカーに入社したヨさんの例

 ヨ・ウンソンさん(仮名・25歳・女)は2019年9月、世界的に有名な日本の電機メーカーの子会社に内定した。この春、韓国の中央大学校を卒業し、日本で入社式を迎える予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、4月末現在、延期となっている。

 ヨさんと日本との出会いは、小学生の頃に遡る。

「日本語ができる同年代は、私の感覚では全体の1、2割くらいでしょうか。2000年から10年間くらいは、日本の若者文化に憧れる人が多かった。嵐の全盛期には、彼らの来韓コンサートのチケットが1分で売り切れたりもしていました。その後K-POPが国内で流行り始めてからは下火になったのですが。私も日本のドラマやアイドルにハマっていて、特に見ていたのは(テレビドラマの)『LIAR GAME』。

アイドルはジャニーズやモーニング娘。が好きでした。日本に就職しているほかの子も、ジャニーズファンだったり。KAT-TUNを追いかけて、そのまま慶應義塾大学に留学した子もいます」

 日本でもK-POPに憧れて韓国留学をしたという話をよく聞くが、韓国でも同じ現象が起きていたようだ。

 彼女が日本語を学び始めて15年になるが、日常会話はドラマだけで覚えたという。大学は日本語力をアピールして自己推薦で入学。入学時に日本語については既にある程度できていたため、専攻は中国語にした。TOEIC880点とともに、HSK(中国語検定)も最上級の6級を保持しているが、中国への就職はビザ取得のハードルが高く断念。日本への就職を選んだ。その一方で、最初から最後まで韓国での就職は考えなかった。