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「リアルな現代社会を描くアニメはもっと増えてもいいと思う」 内山昂輝が語るアニメ「池袋ウエストゲートパーク」

TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」インタビュー#2――タカシ役・内山昂輝さん

note

アニメのタカシはスタッフと作り上げる

―その中で内山さんはどのようなキングを演じたいと考えていますか。

 原作の印象からドライで冷たい硬質な雰囲気のタカシを基本線として意識しましたが、収録が始まると、スタッフとの共同作業になります。自分なりのベストを表現しても、「今度はこういう風にやってほしい」と演出を受ければすぐ変えますし、アニメなのでキャラクターデザインに合わせる必要もあります。それらのすり合わせでタカシのキャラクターを作っていますね。

タカシ

(タカシ――池袋西口最大勢力のカラーギャング、『Gボーイズ』のヘッド。 チームから“キング”と崇拝され、抜群のカリスマ性をまとい、常にクールで敵に対しては冷酷。マコトとは高校からの仲で、池袋で事件が起こるとマコトに頼ることが多い)

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――原作小説ではタカシが話すとき、声について「液体窒素のような」や「雪交じりの北風のような」といった比喩が入るのがお約束で、どのようにそのニュアンスを演じられるのかファンも気になるところだと思います。

 これまで原作のある作品のお仕事を色々やってきましたが、小説でもマンガでもゲームでも、読んだ人、見た人、プレイした人、それぞれに無数のイメージがあって、すべての人の要求にこたえるのは難しいですね。演じる上で正解はどこかにあるのかもしれませんが、それもおそらく何パターンかあって、「違う」と否定する方は絶対います。ベストを尽くすという言い方しかできないですが、スタッフとキャストが知恵を集めて、そのときそのときの正解を見つけていくしかできないと思います。

 ただ、今回のアフレコで難しいのが、前までのようにキャストみんなで集まることができないということです。昔からやっている番組であれば、他のキャストがどのように演じているのか大体想像できるのですが、新しく始まる作品だと、他のキャラクターの細かい部分全てまでは把握できないまま自分の収録が終わっていくので、新しい難しさがありましたね。

 

――そういった収録状況の中、相方であるマコトに対する演技について難しさは感じますか。

 マコトとタカシは大体一緒に収録することができていますが、今回のアニメでは、これまでの二人の経緯を細かく説明するわけではないので、そこが自然になるよう意識しました。

――タカシとマコトの関係はただの親友というのとも違う独特の距離感があると思います。

 緊密に連絡を取りあっているし、前からお互いを知っているが何ともいえない関係ですよね。なれ合いすぎず、付かず離れずというか。タカシとして、どれくらい親愛の情をマコトに見せていいのかというのは悩みどころです。

――マコトに話しかけるときは温度が上がる……。

 でも、そんなに分かりやすく友情に満ち満ちた感じでもないのだろうなと。やっぱり笑顔満開の感じは似つかわしくないので、そのあたりの感情の抑制について気を付けています。