――その一方で、「Campy! bar」は「アッパーキャンプカフェ」時代から、ガラス張りの店構えだったんですか?
ブルボンヌ そうなんです。余興も外にも漏れ聞こえるし、割とオープンな雰囲気で月1回ワイワイ営業してたんだけど、当時はそういったお店がまったくなかったのね。『クィア・スタディーズ』(七つ森書館)という本で、「2丁目初のオープンカフェ」として取り上げていただいたくらい。
「もっとオープンな店を」きっかけとなった出会い
――へえ〜。当時は、ノンケのお客さんが大半の「観光バー」のようなものもなかったんでしょうか。
ブルボンヌ あの時代にも存在したんだけど、もっとショーパブ的なものだったんですよ。「ゲイがノンケにショーを見せます」という感じで、客層もまったく別でした。
今の「Campy! bar」は「ゲイコミュニティーがベースだけど、ノンケもおいで」っていうミックスバーだけど、そういう雰囲気になったのは、その後、同じ場所で毎週金曜日にイベントをやるようになってからかな。この人によるところも大きいんですよ(家弓さんを指差す)。
家弓 ははは。
――お2人はいつから一緒にお仕事をされてるんですか?
ブルボンヌ もともとはプライベートの付き合いだったんだけれども、彼が仕事をサポートしてくれることも増えていって。7年前、「Campy! bar」として営業を始めたときに、一緒に会社を作りました。彼は、ほんといい意味で天然なの。
家弓 僕はゲイであることに割と悩んだことがなくて、周囲もそういう人が多かったから、てっきりみんなハッピーなもんだと思いこんでたんですよ。でも、まだこの人とラブラブだったときに……
ブルボンヌ いまもラブラブです!
――見解の相違が……。
家弓 とにかく、ラブラブだったときに(笑)、町中で手を繋ごうとした瞬間、払いのけられたんです。びっくりして理由を聞いてみたら、「やっぱり人目が気になる」と。『Badi』の編集者で、テレビで顔を出してLGBTQの発信をしているような人でも人目が気になるんだ、日本ってまだまだそんな場所なんだって、大人になってから初めて知ったんです。
それに、この人と仕事するようになって「ゲイの人に会ったことありません」ってノンケの人もいっぱいいることに気づいたんですよ。「ゲイって結構いるから、そんなはずはないんだけど」と思いながらも、じゃあお店で生で触れ合うのが一番なんじゃないかって。