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新生パルコのゲイバーは今…#MeToo時代にドラァグクイーンが求められる理由

「Campy! bar」ブルボンヌさん・家弓社長インタビュー

2020/09/25
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 そういうものが、今求められる理由もすごく分かる気がしていて。#MeTooのように、理不尽なことに対して正面から抗議するやり方が受け入れられてきているけど、抗議しても傷つけてくる人はゼロになるわけじゃない、という現実もある。だから、同時に自分も強くなる、というのが、両輪として必要とされてきているんだと思うんです。

 他人の目を気にせずファッションを楽しんだり、理不尽なことを言われたときにカッコよく返せる強さが欲しいと思ったときに、「そうだ、オネエさんたちはそういうのが鍛えられてる」と気づく人が増えているんじゃないかな。

渋谷と新宿の違いは、「どちらから近づくか」

――渋谷に支店を出して、新宿2丁目との違いを感じることはありますか?

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家弓 新宿2丁目は、場所柄、ゲイやLGBTQに興味があるお客さんが来てくれる。その一方で、渋谷のお店に来てくれるお客さんは「よくわからないけど、楽しそうだから入ってみよう」というスタンスの人も多い感じがします。でも、基本的にはそんなに変わらないですね。

ブルボンヌ「新宿2丁目に飲みに行こう」というのが、向こう側からの前のめりの一歩だとすると、たまたま渋谷にいた人が「このお店入ってみよう」というのはこっちから近寄った一歩だと言えるのかも。

 でも、向こうから近づいてくれたのか、こっちから近づいたのかの違いはあっても、「入ってみようかな」と思ってくれたことに関しては一緒ですから。

――今日は素敵なお話をいっぱい伺ったのですが、「Campy! bar」ではこういうお話もされるのですか。

ブルボンヌ いや、9割は芸能や色恋の話でキャッキャキャッキャやってます(笑)。真面目な話が聞きたいお客さんが来てくれたときには、私はいくらでも “真面目引き出し”を開けるけど、スタッフに「LGBTQの基礎知識についてちゃんと説明できるようになりなさい」と言ったことはなくて。

 私とキャラが違うスタッフに当たったら「それはあなたのクジ運だよ」って思うんです。ブルボンヌはブルボンヌだし、チカコ・リラックスはチカコ・リラックスだし。それが多様性だし、人生の縮図じゃない?

左からブルボンヌさん、家弓さん、渋谷パルコ店店長のチカコ・リラックスさん、スタッフの634・マンガリッツァさん