23日には緊急会議を開いていたのに、翌日発表に「なぜ?」
中道系紙記者が言う。
「北朝鮮がAさんを海上で発見し、審問してから射殺まで6時間もありました。この間に韓国側からAさんを無事に韓国に引き渡すよう要請できたが、何もしなかった。
国防部は、『射撃情報の信憑性の確認に時間がかかった』、『監視および傍受装備が明るみに出ることを怖れた』、『まさか、北朝鮮が丸腰の民間人を射殺するとは思わなかった』と御託を並べ弁明しました。
しかし、『信憑性を疑った』というが、日付けが変わった午前1時には青瓦台(大統領府)が緊急会議を開いている。それに監視、傍受装備というのは、国益、国民のために使うものでしょう。そして、『まさか射殺するとは』と国防部、しかも国防相が言うこと自体、寝言に近い。
国防部はちょうど国防相が交代した時期ではありましたが、一体何が起きていたのか、詳しく公開すべきです」
延坪島在住のある漁民もこんな風に首を傾げていた。
「(NLL付近では)北朝鮮や韓国側の軍などの通信が私でも傍受できます。無事に返還させるよう呼びかけはできたはずなのに、どうしてしなかったのでしょうか」 (YTNニュース、9月25日)。
「越北」発表の信憑性が疑問視される理由
また、24日の国防部の公式発表ではAさんが「靴を脱いでいなくなった点などから考えて、越北しようとした可能性がある」としたが、これにも異議を唱える声が上がっており、遺族からはこんなコメントがでている。Aさんの実兄の話(YTNニュース、同日)。
「靴が脱いであったと発表にありましたが、船内で船員らが履くゴムスリッパで、誰が履いていたものかも分からない。また、ライフジャケットを着ていたから自分の意志で海に飛び込んだといいますが、ライフジャケット着用は船上では常識です。そして、越北だというならば、自身の韓国での身分を明らかにしたほうが有利なはずですが、身分証も船内に残っていました。
弟が乗り込んだ船に実際に乗りましたが、弟がいなくなったとされる場所の手すり(転落防止用の柵のようなもの)の高さは180cmあった弟の太もものあたりまでしかなく、誤って落ちた可能性がある。
借金があったなどと言って越北を試みたと報道したメディアもありましたが、誰でも生きていればいいことばかりではないでしょう。だからといって越北しますか。(政府が)早々に『越北』と発表したことに、今回の責任を個人に押しつけようとする意志が見えて、惨憺たる思いです」