反対論にどう向き合うか
オリンピック代表内定選手も大会ボランティアも、今どきの学生である。延期の一報を受けても、あとにひきずらない。すぐに先を考えて前向きに次の課題に取り組もうとする。2020年東京大会の実施を信じて疑わない。
一方でこれから代表を目指す選手はこんな不安を口にしていた。
「大会反対の論調が強まっているように感じます。国民は私たちを応援してくれるでしょうか。選手にはなんの罪もないのに」
都知事選ではオリンピック開催反対を掲げる候補者もいた。今年、ボランティア参加を予定していた、立教大の学生がこう話していた。
「オリンピックは中止すべき。その分のお金でコロナ禍で困窮した人たちを援助してほしい。オリンピックで勇気をもらったなんて、生活苦にあえぐ人からすればきれいごとです。こういう意見を実名で話せない社会も怖い」
神田外語大の津田はこう話す。
「国はこの大会に大金を注ぎました。しかし、オリンピックはオリンピアの時代から平和の象徴として行われ、現在では全世界が国籍に関係なく肩を組み団結する平和の祭典です。日本での開催は非常に貴重な機会であり、ボランティアとして何事も挑戦してみなければ新しい発見はありません」
上智大「Go Beyond」の神野、山本は次のように話す。
「反対側の人たちは、『大会を開催する意義や、それによって世の中を共生社会に向け変化させる可能性』を理解しているのか。賛成側の人たちは『反対側の人たちが何を不安視して何を恐れて実施しないことを望んでいるのか』を知っているのか。―これらについて考えなければならないと思います」
賛成派と反対派が共生、共に生きるということも、オリンピックの精神ではある。