長年のパートナーとの同棲を解消し、都内の1Kで一人暮らしを始めたフリーライターの藤谷千明さん。しかし、ミーハーで雑食なオタクの藤谷さんの部屋にはものがあふれ、職業柄、家賃が安い郊外への引越しも現実的ではなく……。

 そんな藤谷さんは、ある晩、オタクの友人同士でルームシェアすることを思いつく。ルームシェアを希望する友人を3人集め、ようやく理想の物件を見つけるものの、思わぬ壁がたちはだかる。

画像はイメージです ©iStock.com

 エッセイ『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)から一部抜粋・編集して掲載する。(全2回の第2回/第1回を読む)

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理想の物件“文化的なハウス”

 そして、「さすがに簡単に見つからないよね~気長に探そうか~」という空気が漂いはじめたある日。まさに理想を体現した物件が、条件保存検索にひっかかってきた。

・21万円の一軒家(予算より安い!)

・JR沿線(急行止まる!)徒歩分(許容範囲!)

・5LDK(余った1部屋は収納部屋にできる!)

・リビング14畳

・個室の広さは8畳、7.5畳、7畳、6畳(許容範囲!)、全室フローリング(嬉しい)

・キッチン、バス、トイレリフォーム済

・トイレと洗面台が各階にある(朝、殺し合いにならない)

 なにより……燦然と輝く【ルームシェア可】の1行!

 駐車場がないということでファミリーからは敬遠されていた物件らしいが、車を持たない我々からしたらむしろ好都合。おいおい、これはかなり“アリ”なのでは?

オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)

「オッ、これは~~~~?」

三上「庭付き一軒家!間取りと収納もかなり理想的!洗面台2個は“勝ち”」

角田「○○駅が使えるなら、私は通勤的にもありがたいです」

丸山「私も問屋街まで出やすいのは助かる。110平米はでっかいですね~~~」

「昔このへん住んでましたけど、THE・住宅街ですね。スーパーも多いはず」

角田「これでなにかのミスでルームシェアが不可だったら泣いちゃうな」

 秒速で不動産会社に電話したところ、やはりルームシェア可で、まだ手付かずとのこと。一気に色めき立った我らは、がぜん勢いづいて次の週末に内見の予約をとりつけた。