そして訪れた週末、ウキウキ遠足気分で不動産会社の店舗に向かう。当の物件は駅から少し離れているので、社用車に乗って現地へ。たしかに築年数は古いけれど、水回りはきれいで、日当たりもかなり良い。各部屋の南側にベランダもついていて、小さいながらも庭もあった。
私「ホテルの1階にありそうな庭だな」
不動産業者「家主さんは、木を切り倒すとかじゃなければ住人が手を加えても構わないと言ってましたね」
丸山「わ~い、家庭菜園チャンス!」
収納面では、納戸のほかにシューズクローゼットも備わっているのを見つけ、着道楽の気がある角田さんと丸山さんがブチ上がる。北側の一部屋にはつくりつけのハンガーラックが設けられており、またブチ上がる2人。
丸山「靴、置き放題やんけ~~!」
角田「ハンガーラックの上に棚があるから、ここに着物を置いていいですか?」
三上・私「いいとも~(ガッツポーズで)」
たしかに、ここをみんなの収納部屋にできたらいいなあ。住んでいるイメージがわく家はいい家だ。
完全に「ここに住みたい」モード
私には、内見で確認したいことがあった。それはコンセントの数。オタクはデバイスが多い。現在住んでいる1人暮らしの部屋は、家電やゲーム機、パソコン、タブレットなどで配線がえっらいことになっている。したがって新居も電源の数が気になるのである。古い物件は電源が少ない傾向にあるが、この家は築年数のわりに多めで安心した。
一方で、テレビのアンテナ線はリビングにしかつながっていなかった。けれど、我々はテレビよりネット配信ばかり観ているタイプ。なので、リビングだけでも無問題だし、私の所有する全録レコーダーを使えば観たいテレビ番組を見逃すこともない。
我々にとってリアタイ視聴が必要なものといえば、当時放送が予定されていた『あんさんぶるスターズ!』のアニメくらいだ。しかもこの時点で延期につぐ延期になっており、果たして放送されるのかという心配すら出てきていた。あとは音楽番組に推しが出るだとか、そういう突発的なケースが多そうだから、チャンネル争いで殴り合いになることはないだろう。
話がそれた、戻そう。リビング隣の8畳には、本棚のような棚がつくりつけられており、書斎っぽさもある。ぐるっとひとまわりしてみて、全体的に「なにか文化的な仕事をしてそうな人」が住んでいた空気を感じるので、我々はこの一軒家を“文化的なハウス”と呼ぶことにした。
完全に「この“文化的なハウス(仮称)”に住みたい……」モードになっている我ら。不動産業者も「ここの家主さんはかなり寛容だから、友人同士でも審査通れば大丈夫だと思いますよ」と言う。ウッ、審査……。私と丸山さん、フリーランス2名のテンションが、一気に現実に引き戻される。
が、ダメ元でも入居申し込み自体はタダだ。なにより「ここに住みたい」という気持ちが強かったので、入居を申し込んだ。帰宅後もみんなで相談するために動画を撮影する余念のなさを発揮しつつ、“文化的なハウス(仮称)”を後にしたのであった。
しかしながら、ここでトラブルが発生。三上さんの親御さんが、ルームシェアに反対を表明したのだ。