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「よっしゃ!ワンチャンあったで!」

 数日後、「星野さん、親OKだって!」と角田さんからLINEがきた。ソッコーで通話に切り替え、不動産業者に「あの部屋、まだ空いてますか?」と、電話をかける私。「空いてます!」はいキタ!再びLINEに切り替える。

「まだ空いてるって!」

丸山「よっしゃ!ワンチャンあったで!」

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角田(『カイジ』の圧倒的感謝っ……!スタンプ)

「星野さんをこのグループに誘いましょう」

星野「よろしくおねがいします」(『あんさんぶるスターズ!』氷鷹北斗今きたスタンプ)

丸山(『おそ松さん』十四松と聖澤庄之助家宝にすっぺ~スタンプ)

 3人だったLINEグループは再び4人になった。そして、各々の歓喜を表現するスタンプが投下される。これが我々にとっての桃園の誓いですわ。1人多いけど。

©️iStock.com

 こうやって書いていくと、いきあたりばったりなメンバー募集のように見えるかもしれない。でも、私自身の中ではゆるゆるながらも一定の基準があった。

 三上さんも含めて我々は、mixiやツイッターでなんだかんだ10年くらいはつながっている。年単位の長い間、SNSを見ていると、好きなものや推しはもちろんだが、コミュニケーションのとり方、時事ニュースに対してどんな反応をしているかなどで、ある程度の人となりは伝わってくる。たとえば、同じ趣味を持っていたとしても、ゴシップネタにやたらと言及するタイプや推しに対してすごく失礼なリプライをしているタイプとは、ひとつ屋根の下で仲良くやっていけるとは思えない。

 この時点で、自分も含めて、「この人はなんとなく大丈夫なんじゃないかな」というコンセンサスは共有されていたように思う。大親友のような固い絆で結ばれてなくても、「暮らす」分には、最低限の価値観が近いだけでなんとかなるように思えたのだ。

©️iStock.com

 あの秋の夜泣きから2カ月もしないうちに、とんとん拍子で話が進んでいる。そういえば最近、寂しくて泣くこともなくなったな。

オタク女子が、4人で暮らしてみたら。

藤谷 千明

幻冬舎

2020年9月17日 発売