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30代からのルームシェアの壁

「“家を出ろ”といったのは自立や結婚をして出ていくという意味で、友人同士のルームシェアは認めない」

 それが親御さんの言い分だそうな。ほ~ん。その発想はなかっ……いや、普通にあるわ。ありふれてますわ。

 私は早くに家を出たこともあり、あまり親にあれこれ言われたことはない。今回のルームシェアについても、一応伝えたところ「好きにすれば(笑)」程度の反応だった。だけど「実家を出る」というのが親にとっても一大イベントであることはわかる。どこの馬の骨ともわからない、中年女性ハウスにやるわけにはいかないでしょうよ。やむなし、こちらもそこで親御さんと戦う理由はない。「ごめんなさい」と謝る三上さん、「まあ、こちらもコトを急ぎすぎた」と残りの3人。さ~て、どうしたもんかな~。

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©️iStock.com

 3人で討議して、

・増員を検討

・3人向けの物件を探す

 の選択肢、どちらも視野に入れつつ探していきましょうという話でまとまった。

 しかし、4人目探しはその後難航した。

 4人が難しいとなると、5LDKの“文化的なハウス”では部屋を持て余すし、1人頭の負担額が想定予算を超えてしまう。そういうわけで、同時進行で3人用物件を探すが、正直「なんの成果も‼得られませんでした‼」状態が続いていた。

 3人×6万円とすると、18万円の3LDKしか借りることができない。賃貸情報サイトを見た限りでは、4人×6万の24万4LDKのほうが確実に部屋のグレードが良い。4人想定で探していた時期よりも条件の悪い物件ばかりがヒットし、テンションが下がる。それに、なにより例の“文化的なハウス”が良すぎたのであるよ。

 一度、山手線沿線の一軒家で良さげな物件が見つかり、即座に内見に向かったこともある。物件はたしかに良かったが、隣の家がどう見ても廃墟。窓ガラスは割れているし、こっちのベランダに蔦が侵食してきそうだし、夏は虫がやばそう。隣家の扉には、意味のわからない怪文書のような紙がべったり張り付いている。むしろ、廃墟じゃなくて人が住んでいるほうが怖いわ。

 そりゃあ借り手がつかないね、隣の家がヤバいというトラップもあるのねと、トボトボ帰路につくのであった。

©️iStock.com

丸山「うぇ~ん、“文化的なハウス”に住みたいわ~」

角田「住みたいねぇ」

「誰かいないかなあ」

 電車の中で、思わず“虚無”になる我々だった。

 おもむろにスマホを取り出し、ツイッターを見たりソシャゲの周回をしたりしていたところ、同じくスマホを眺めていた角田さんがぼそっとつぶやいた(ツイッターではなくリアルで)。

「星野さんはどうかな?」