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現状をきちんと考えるほど戸惑ってしまう…コロナの衝撃を知の巨人たちはどう受け止めたのか

『コロナ後の世界』(大野和基 編)――ベストセラー解剖

2020/10/07
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『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンド、ポール・クルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグマーク、スティーブン・ピンカー、スコット・ギャロウェイ 著 /大野和基 編)文春新書

『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンド、『ライフ・シフト』のリンダ・グラットン、『21世紀の啓蒙』のスティーブン・ピンカーら、世界的な知の巨人6名のロングインタビューを収録した豪華な内容の新書が好調だ。

「もともとは今年2月号の『文藝春秋』に掲載されたインタビューを新書化する企画として進めていました。しかし、作業中に世界の状況が一変。新型コロナウイルスの話題を盛り込むため、編者の大野さんがあらためてリモートで追加取材を行い、原稿を再構成してくださいました」(担当編集者の松﨑匠さん)

 日本でもベストセラーになった主著のエッセンスや、6名それぞれの専門的見地からの未来への提言が綴られている本書。特に目を引くのは、識者たちが現状への戸惑いを率直に語っている点だ。

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「何かと断言する識者がメディアではもてはやされがちですが、現状をきちんと見つめ、物事を突き詰めて考えようとする人ほど、現時点で結論を出せないようなことには『どうなるかわからない』とおっしゃいます。本書に登場するみなさんはまさにそうした方々ばかりで、それこそが知識人として正しい姿勢ではないでしょうか。ですから、答えを求めて読むというよりも、思考のきっかけ、知の羅針盤として手にとっていただけたらうれしいですね」(松﨑さん)

2020年7月発売。初版3万部。現在4刷10万部

コロナ後の世界 (文春新書)

大野和基

文藝春秋

2020年7月20日 発売

現状をきちんと考えるほど戸惑ってしまう…コロナの衝撃を知の巨人たちはどう受け止めたのか

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