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《ジャニーズの正統派》少年隊の「女性を抱かない」不器用なアイドル像が、私たちをときめかせた

《ジャニーズの正統派》少年隊の「女性を抱かない」不器用なアイドル像が、私たちをときめかせた

2020/10/02
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 まさに、少年隊は“ジャニーさんの夢そのもの”のようなグループ。「胸さわぎの放課後」を皮切りに女性にスマートに添う恋人像を、プレゾンではダンスの英才教育による洗練された身のこなしを、そして長年にわたる“座長経験”を経てきた少年隊は、“ジャニーズの帝王学”を受けた存在と呼べるのではないでしょうか。それこそが、少年隊が50代になった今もアイドルとして尽きぬ可能性を秘めている所以です。

少年隊の4枚目のシングル「バラードのように眠れ」。作詞は松本隆氏

伝説となった「青山劇場での“お見送り”」

 少年隊のスマートさを象徴するこんなエピソードがあります。少年隊は2008年の舞台を最後にプレゾンの主演を退いていますが、この最後の公演で彼らはタキシードでお客さまをお見送りするというサプライズをもたらしました。青山劇場のエントランスで正装した3人がパフォーマンスしてくれたのですが、あまりの素敵さから、熱湯をかけられた綿菓子のように一瞬で心を溶かされてしまうファンが続出。その後も語り継がれる伝説となっています。

 後輩が主演を受け継いだあとのプレゾンでも、今井翼さんやKis-My-Ft2、中山優馬さん、A.B.C-Zなどタキシードを着たイケメンが総出でアーチを作り、その間を通ってお客さんが帰る“お見送り”は、恒例の行事にもなりました。正装した“推し”が間近で微笑んでくれる“お見送り”の威力は、想像を絶するものがあります。このお見送りが「アイドルに対してひときわ高い高揚感や、愛とも恋とも言い難い特別な感情を抱くようになったきっかけ」だというファンも少なくありません。

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少年隊の5枚目のシングル「stripe blue」。作詞は松本隆氏、作曲は筒美京平氏

「大人アイドル」の象徴としての少年隊

 このように、現役時代の少年隊が礎となって作ったジャニーズの正統派文化は、後輩にきちんと受け継がれています。しかし、少年隊が後輩に与えた影響はこれだけではありません。少年隊は後輩たちにとって、「近未来の象徴」でもあると私は思っています。

 現在は若くキラキラ輝いているKing & PrinceやSixTONES、Snow Manのようなグループも、10年、20年と活躍していくと、さらに若い世代のグループが現れ、大人アイドルとして彼らをリードする立場になります。そんな日が来たら、どう振る舞うべきか。それを後輩たちに示しているのが少年隊の3人です。