――その点では、安易に戦争とコロナを一緒にすることはできませんが、今は『女の一生』という物語が持つ力やメッセージが、よりダイレクトに伝わるような状況にあるのかもしれませんね。
段田 そうですね。いまは世界中が大変な時期ですが、だからこそ、このお芝居もビビッドに感じてもらえる部分があるのかもしれません。この作品も、最後は少し希望が見えて終わりますので。
……もちろん、芝居を観たからといって、そんなに簡単に人生が変わるものでもないとは思います。芝居にどれほどの力があるのかはわかりませんが、少なくともこのお芝居を観たら、しばらくは「よし頑張るぞ」という気持ちになれるのではないかと思います。
大竹しのぶさんは「未だによくわからないです」
――今回、大竹しのぶさんが主演を務められますが、段田さんにとって大竹さんとは、どのような役者さんなのでしょうか。
段田 これまで何本も舞台や映像で共演させていただいていますが、やはり集中力が並外れていますね。ただ……正直なところ、謎なんです(笑)。どういう感覚であの方が芝居をしているのか、何回一緒にやってもよくわからないんですよ。普段はわりとのんびりしてらっしゃるんですが、それ以外にも自分の中にいろんなリズムを持っているし……うん、未だによくわからないですね。
――そんな大竹さんを、演出という立場からどのように引っ張っていかれますか。
段田 そこなんですよ。3割バッターでホームランを何本も打っている選手に、2割そこそこで引退して監督になった人間が何かを言うのは、そもそも無理だろっていう感覚もちょっとあるんで(笑)。でも、現役時代に2割そこそこでも、名監督になる人はいます。そういう感覚で、何かサポートできる部分があれば嬉しいな、と思っています。
大竹さんは、「私が私が」というタイプの女優さんではなく、「みんなで一緒に舞台をやりましょう、良いもの作りましょう」という姿勢を見せてくれる方なので、このお芝居も、きっと良い作品になると思っています。
撮影=佐藤亘/文藝春秋
INFORMATION
段田安則さんが演出・出演を務める舞台『女の一生』が、11月2日(月)〜26日(木)まで、新橋演舞場で上演されます。
上演日程やチケット購入についての詳しい情報は、下記ホームページにてご確認ください。
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujyo_20201031/
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