10月6日、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による外相会談が東京都内で開催された。中国を牽制し、4カ国の結束をアピールするための会合だ。
これは「米中対立」が、単なる「二国間対立」ではなく、すでに新たな次元に入ったことを示している。こう解説するのは、戦略家で米戦略国際問題研究所上級顧問のエドワード・ルトワック氏だ。
「米国と中国の対立」は、すでに過去の話
〈「地政学上の最大の問題は、『米中対立』だ」と、今日、多くの専門家、ジャーナリスト、メディアが論じているが、こうした見方自体が、実は間違っている〉
〈「米国と中国の対立」は、すでに過去の話だ。現在進行しているのは、「(米国主導の)海洋同盟と中国との戦い」なのである〉
それを示すのは、先の4カ国外相会談だけではない。
〈最近の国際ニュースを見れば、すぐに理解できるだろう。「米中の戦い」というより「海洋同盟の諸国と中国の戦い」に関連する事件が続々と発生しているからだ〉
豪州が「反中国包囲網」をリードし始めた
〈たとえば外交面でいえば、中国との戦いの最前線をリードしているのは、豪州だ〉
〈事のきっかけは、新型コロナウイルスの発生源と中国の初期対応に関して、国際的な独立調査委員会の設立を豪州が提案したことだ。これに中国が強く反発し、豪州産の大麦に80.5%もの関税を上乗せし、留学や旅行も含めて、豪州行きを避けるよう国民に呼びかけた〉
〈豪州にとって中国は輸出の約3分の1を占める最大の貿易相手国だ。そこで北京政府は、「経済的にどれほど依存しているのか分からないのか!」と“圧力”をかけた。だが、キャンベラのエリートたちは、屈しなかった。その結果、WHOで中国外しを狙ったり、インドを国連安保理の常任理事国にするためのロビー活動を始めるなど、豪州は、「反中国包囲網」をリードし始めたのである〉
〈このところ緊張が高まっている中国とインドの国境紛争も同様だ〉