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事態は「中国vs中国の周辺国」という構図に

「米国主導の海洋同盟」の主要メンバーは、先に外相会談も行った日米豪印の4カ国だが、それだけに留まらない。南シナ海の諸国も「海洋同盟」のメンバーだ。

〈4月上旬には、中国海警局の船舶が、南シナ海の西沙諸島付近で、ベトナムの漁船に体当たりをして沈没させる事件が起きている。南沙諸島でも、中国とフィリピンとの対立が本格化し始めている。

 4月中旬、北京政府は、突然、この2つの諸島を新たな行政区に編入し、西沙諸島に「海南省三沙市」の「西沙区」を、南沙諸島に「南沙区」を設置すると一方的に発表した。ボートで渡る“島”ではなく“町”として扱う、というわけだ。

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エドワード・ルトワック氏

 これに対してベトナムは、一歩も引いていない。これを支援しているのは、米国とインドで、日本も、ベトナムに艦を寄港させている。ちなみに、ベトナムの潜水艦は、ロシア製である〉

 その上で、ルトワック氏はこう指摘する。

〈つまり事態は、もはや「中国vs米国」ではなく、「中国vs中国の周辺国」という構図になっているのだ。そこに豪州、インド、日本といった「海洋同盟」の国々も加わり、これを米国が支えているのだが、米国は後方から支援しているにすぎない〉

〈見落としてならないのは、中国自身の強硬姿勢が、こうした結果(=海洋同盟の結束)を招いていることである〉

出典:「文藝春秋」10月号

 その他、中国のコロナ対応、香港問題、中国とインドの「文化=経済」比較論、米大統領選の見通しなどを論じたルトワック氏の「新冷戦『米海洋同盟vs中国』勝者の条件」の全文は、「文藝春秋」2020年10月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

文藝春秋

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アメリカ主導の海洋同盟vs.中国 「新冷戦」勝者の条件