「絶縁」とは暴力団業界からの永久追放を意味し、「破門」「除籍」は組織への復帰の道もあり得るということを意味する。さらに山健組というブランドについても言及する。
「やはり何と言っても、山健組という看板は大きい。ネームバリューは業界ではトップ。離脱した中田も、神戸山口組の井上も、双方ともに山健組の看板は欲しいのだろう。最近ではヤクザになろうという若者は少なくなっているが、ヤクザになるにあたって『山健組』という名前に憧れて、門を叩く若い者は今もいるだろう」(同前)
警察幹部「独立した山健も暴対法の規制対象」
分裂した双方の組織が、同じ名称を使い続けるケースは他にもある。
例えば、京都が地盤の会津小鉄会のケースだ。2017年1月、6代目山口組を支持するグループと神戸山口組支持派とが分断された状態となり、双方が7代目会津小鉄会を名乗っている。
前出の指定暴力団のベテラン幹部は、「会津小鉄会ほどではなく、比較的小さな組織でも同様に内部が分裂状態となり、2つの組織がそれぞれ同じ看板を掲げているところがいくつかある」と指摘する。
山健組を名乗る組織が2つ並列している現状について、警察当局は動向を注視している。
山口組が2015年8月に分裂以降、離脱した神戸山口組は指定暴力団から外れるため暴力団対策法の規制の対象ではなくなった。このため、警察当局は急ピッチで指定作業を進め2016年4月、神戸山口組を指定暴力団とした。同組から離脱した任侠団体山口組(現・絆会)についても同様に指定した。
しかし、今年に入って神戸山口組から池田組が離脱、ここまで説明してきたように山健組も内部分裂して、一部が神戸側から独立している。
こうした状況に対して、警察当局の幹部は次のように語る。
「池田組や山健組が神戸山口組から離脱、独立したなどといった書状を回しているほか、アナウンスをしているのは承知している。警察としては、現状の情報収集を進めて、実態を把握することが重要だ。一時的な諍いかもしれないし、元に収まる可能性もある。見極めが必要だと考えている。最近の動向を見る限り、いまはまだ離脱などの状態とは判断していない。つまり、暴対法上の規制の効果は継続しているということだ」
警察当局は、山健組も池田組も、いまだに神戸山口組の2次団体と認定しており、いずれの組織にも厳しい姿勢で対処していく方針だ。(敬称略)