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現段階で行えるコンサートの実現形態とは

 ※追記

 本書のゲラチェックの時点までに、クラシック音楽公演運営推進協議会、日本管打・吹奏楽学会が「クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスク検証実験 報告書」を発表しました(8月17日)。各楽器の演奏時の微粒子を測定する実験です。

©iStock.com

 これによると、フルートやオーボエ、クラリネットなどの管楽器では、楽器先端部でこそ微粒子を測定するものの、距離が離れた測定点では微粒子の検出はなかったようです。微粒子発生の多かったトランペットやトロンボーンですら、2mの距離をとれば測定はわずかになりました。バイオリンなどの弦楽器も(予想通り)周囲への微粒子の発生はわずかでしたし、声楽ですら、口元以外からの微粒子の測定はわずかでした。ぼく自身がクラシック音楽に詳しくなく、実験系と「リアルワールド」の違いを十分に知悉しているとは言えないのですが、少なくともこのデータを見る限り、観客席でのソーシャルディスタンスや「ブラボー」などの声がけを控えた形でのクラシック・コンサート開催は可能なのでは、と考えました。他の領域の音楽ライブなどでも同様のデータが集積されるとよいな、と思いました。

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