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基本的なことを地味に行うことが大切

 新型コロナウイルス感染対策では、「数」とか「状態」の把握が大事だと繰り返し申し上げています。コミュニティで感染が蔓延している状況では、どんなイベントも中止せざるをえません。

 幸い、本稿執筆時点(2020年6月末)では、日本ではほとんど新規の新型コロナウイルス感染が発生していません。また、たとえ発生していても、クラスターとして追跡できるものが大多数です。

 このような状況では、そうしたクラスターに所属しない一般市民の間で感染がどんどん広がって、という可能性は非常に低いです。また、数々の抗体検査の結果は、「日本に住んでいる人のほとんどは新型コロナウイルスに感染していなかった」ことを示唆しています。海外のように住民の1割とかそれ以上が感染していた、みたいな事実はないのです。

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 ですから原則的には、「こういう状況下では」、どんな社会活動も普通にやってよいとぼくは考えます。ウイルスがいないところでは、ウイルス感染は起きない。単純な理屈ですが、感染症学の基本中の基本です。

 アメリカのCDCが6月12日に、イベント、集会を行う際のガイドラインを出しています。ざっと読んでみても、特別なことが少しも書いていません。ということは、イベント、集会を行う場合にも、「基本的なこと」を地味にやることが大事だし、地味にやる以外にこれという決定的な対応策はないのです。

©iStock.com

マスクを身につける意義

 例えば、布マスクや医療用の不織布マスクは周りからの感染を防ぐ能力は乏しく、むしろ感染者が周りに感染を広げないために着用するものです(よく誤解されていますが、WHOもCDCも「マスクをしろ」と主張しているのではなく、「外出せざるをえず、かつソーシャルディスタンスが保てないときは次善の策として行え」と言っています。感染経路の遮断こそが感染防御の基本であり、その遮断能力に乏しいマスクは、ステイホームやソーシャルディスタンスの「代わり」にはなりえません)。

 すでに述べたように日本では、「現在」、感染者はコミュニティで非常に少ないと考えられますから、「あなた」がマスクを着用することで得られる利得はほとんどありません。

 ありませんが、おそらくソーシャル・アタイア(社会的装い)として、マスクの着用が要請される可能性は高いです。ジャケット着用のレストランでジャケットを着用するようなノリで、スタッフや客はマスクを着けることになるかもしれません。