いよいよ2週間後に迫った、11月3日に行われるアメリカ大統領選。民主党候補のバイデン元副大統領の優勢が伝えられるが、それでも現地では「最後はトランプが勝つだろう」という声が絶えないという。4年前に大逆転勝利を演出した、投票日まで姿を現さない「隠れトランプ」支持者がいるからだ。
このアメリカの現状を解き明かした著書『隠れトランプのアメリカ』(扶桑社)を10月20日に刊行した横江公美氏(東洋大学教授)が緊急寄稿した。
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これまでのアメリカ大統領選挙であれば、民主党のジョー・バイデン元副大統領が世論調査で約10ポイントも先行している現状をみて、バイデン勝利を疑う人はいなかっただろう。
しかし、いまアメリカ人は誰もが、口に出すか出さないかは別として、「それでもトランプが勝つかもしれない」と思っている。
トランプ大統領を支える共和党員は、最終盤まで劣勢と言われながら巻き返した2016年の再現を狙って「隠れトランプ」支持者の存在を信じている。そして、一方の民主党員たちは「隠れトランプ」にひっくり返された前回の選挙がトラウマとなっているのだ。
「隠れトランプ」とは誰のことか?
今回の大統領選挙においてメディアの世論調査で、新たに登場した質問がある。
「隣人は、どの候補を支持していると思いますか?」
この問いは、まさに「隠れトランプ」支持者を探そうとする質問だ。アメリカのメディアも「隠れトランプ」をあぶり出すことに躍起になっている。
彼らが表に出てこないのは、「トランプを支持する」と口に出すのをためらわれる空気があるからだ。トランプの言動、人となりが“アメリカの大統領の資質ではない”というのは、アメリカ人の共通認識だ。それでもトランプを支持しているのが「隠れトランプ」支持者。彼らの動向が、今回の大統領選挙の勝敗を決める大きな要素なのだ。