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トランプ大統領“大逆転のシナリオ” 実は「隠れトランプ」は4年前より増えている!

2020/10/22
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「隠れトランプ」とは誰なのか?

 では、今回も大統領選の鍵を握る「隠れトランプ」とは具体的には、どんな人々のことなのだろうか。私は、彼らが「ミレニアル世代」の時代にあって、その流れからこぼれ落ちた人々だとみている。トランプは、そこに目をつけているわけだ。

 ミレニアル世代とは、2000年以降に成人した人々のこと。物心ついた時からパソコンやスマホなどデジタル機器に囲まれ、情報収集はインターネットというよりSNS。コミュニティを大事にし、多様化や個人の自由を重んじ、人々と協力して問題解決に当たることを求める世代だ。理想のリーダー像はオバマ前大統領だろう。

 この「ミレニアル世代」の作った社会の流れに乗れないことに、自分自身で気がついた人たちが「隠れトランプ」になるのだ。そんな「隠れトランプ」は、大きく分けて次の3つのタイプに代表されるだろう。

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【1】古き良きアメリカを愛する人々

「ミレニアル世代」が主導する多様化の流れの中で、古き良き時代のアメリカが好き。その保守思想の中心にあるのが「キリスト教的価値」と「銃」で、ここに共和党の集票マシーンである「コア・トランピアン」が存在する。その中でも、トランプの「外交安保政策」「規制緩和」に賛成している声高に主張しない保守思想を大事にしている人々が「隠れトランプ」になる。

街頭に立つトランプ大統領の支持者たち。一方、「隠れトランプ」は支持を口にしない人々のことだ ©getty

【2】BLM運動に不安を持つ人々

「Black Lives Matter(BLM、黒人の命は大事)」の運動が全米のみならず、世界に広がっている。今年5月にミネアポリスで警官に暴行されたジョージ・フロイトの死は痛ましい。全く罪のない黒人、殺されるほどの罪のない黒人が警察に殺される事件が続いている。あってはならないことだ。だが、自分が住んでいる地域でBLM運動が暴徒化すると、治安上の不安を抱える。トランプはそんな心理を突いて警察と治安の重要性を訴え、「隠れトランプ」を獲得している。

【3】差別主義者と呼ばれたくない人々

 トランプの「物の言い方」が原因で「隠れトランプ」になってしまった人々もいる。「Qアノン」といった陰謀史観の集団、人種差別の集団を非難しないトランプの態度は受け入れられない、というアメリカ人は当然ながら多い。一方で、トランピアンは「Qアノン」のシンボル付きのTシャツを平気で着る人もいるし、「Qアノン」を信奉する共和党候補者もいる。バイデンへの激しい攻撃も尋常ではない。戦争で負傷した人を「ルーザー」と言うなど、人間として受け入れられない部分が少なくない。そんな影響から、「トランプ支持者だと、人種差別主義者だと思われる」と心配する人々が「隠れトランプ」になる。