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映画監督・小林勇貴が田村淳に語った「今最も見て欲しい」コンテンツ

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その3.バラエティ番組『テレビが織りなす超人カメラワーク』

小林 続いて紹介したいのがテレビのバラエティ番組です。「映画人は見て学べ! テレビが織りなす超人カメラワーク」です。

 テレビのカメラワーク?

小林 圧巻です、テレビのカメラワーク。

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 えー?

小林 映画にとってそれは今まさに必要だなと思ってて。例えば、面白いことを言ったときにカメラがズームで寄って、そのあとズームで引いて、映ってない範囲でまた面白い事が起きてると、すかさずそっちにカメラを振って間に合いますよね?

 うん。

小林 なんとしてでもここから面白いものをゲットしようっていう、ハンティングのようなワークにすごく心打たれるんですね。

 うわーなるほど。分かります言ってること。僕、狩野英孝に映画監督のオファーが来るっていうドッキリをやったことがあるんですよ。

小林 はいはい。

 で、映画のカメラマンさんに、バラエティ番組っぽくカメラを振ってくれっていうオファーをしたんですけど、なかなかその指示が伝わんなかったんです。

小林 あー。

 「淳さんの指示がよくわかんないんですけど」と言われて、「いいんです、僕が言う通りもうピントが来てようが来てまいが」って答えたり。映画だと、カメラがコメントを求めるみたいな寄り方って、なかなかしないじゃないですか。

小林 テレビの人達は、決定的な瞬間をちゃんと撮ろうとしてると思うんですね。でも映画って段取りをしてテストをして決定した瞬間しか撮れないから、決定的な瞬間は撮り逃してしまう。

 なるほどー。

小林 悔しいんですよ。その中で、最近特にすごいなーって感動したテレビ番組があって。それが「相席食堂」なんです。どんな空気が漂ってるかって分析して、それに対して最適なタイミングで、カメラが寄ったり引いたりしているんです。

「相席食堂」でかまいたち山内が雪山を登るためのアイスピックを持ち長々とぼけたのに、全く笑わない一般の方との対比のシーンを見る2人 ©MBS

 あー、なるほどね。

小林 空気感を伝えるために一回(カメラを)振ってあのおじさんを(画角に)入れて、寄って、それでまた虚無を伝えるためにまたカメラを引いて。これ、バイオレンスにも使えるなと。

 えっ!?

小林 暴走して誰にも止められなくて、同じことを繰り返して、それに取り残されてる人が画面の隅にいる。これはもう暴力の構図ですよね。

 なるほどね。

小林 しかも「いい波乗ってんね~」とか、「鎌だけにー?」とか、山内さんがよく分からないことをずっと言ってんのも超怖くて。

 暴力ですね。理解できないから。

小林 暴力です。理解できなくてどんどん置いてかれて、どんどん先に進んでっちゃう。大好きなんですよね。

 でも、それが可能なのって、ワンカメショーができるカメラマンさんだけなんですよ。ロケカメラ1台だけ担いでって、全部の状況を伝えるっていうのに特化したカメラマンがいるんで。

小林 すげー!