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アップデートされていない日本の「アジア観」
アジア学生調査の第1波調査と第3波調査で、アジアのイメージを聞いています。そこで用いられた6つの対照的な形容詞群のどちらに近い回答をしたのかを表したグラフが6-13です。
/を挟んで左側の形容詞に近い回答をすればするほど低いスコアを、右側の形容詞に近い回答をするほど高いスコアを示しており、1点から7点でスコア化しています。中央値が4点ですから、4点よりも値が高いか低いかに注意して、グラフを見てください。
「安全/危険」という軸では変化が見られますが、それ以外では、この10年間、日本のスコアはあまり大きく変わっていません。日本とアジア全体で大きく違いが見られるのは、「汚い/きれい」「停滞した/発展した」「若い/古い」の3つの形容詞群です。
筆者が特に注目したいのは「汚い/きれい」の軸です。「若い/古い」が、肯定・否定のどちらに近いか判別しがたいのに対して、「汚い」が悪いイメージ、「きれい」がよいイメージであることは明らかですが、アジア全体が4.2強あるのに、日本は3.5弱と4を下回っています。この両者の間に0.75ポイントの差があり、この差はこの10年間変わっていません。
また「停滞した/発展した」という軸でも、似た特徴が見られます。筆者はそこに、日本におけるアジアイメージの「停滞」を感じ取っています。