大学の「親子面談」を避けるために……
こうしたやりとりを見ていると、Dさんが自殺相手を募集し、「9月16日」を指定している。なぜ、この日だったのか。それは弁護側が明らかにしている。実は、Dさんは大学の成績が振るわず、留年の心配をした大学側が、「親子面談」を指定してきたのだ。その日は「9月16日」だった。親子面談を避けるために、Dさんは白石に会う選択をしていることになる。
9月16日は、Dさんはイタリアン料理の店でのアルバイトを終えて、22時30分ごろ、座間市へ向かった。実はこのとき、連絡が取れなくなった母親が、バイト先まで車で迎えに来ている。LINEでメッセージを送っても、電話をしても、Dさんからの応答はなかった。そして、深夜の0時26分に相武台駅の改札を出ている。
このとき、白石被告は、防犯カメラがあると思われる、改札前で待ち合わせをしている。そして、それまでの被害者については失踪を装う工作をしていたが、Dさんのときはしていない。このとき、白石被告は「Twitterの友人がくる」といい、Yさんを駅前のカラオケ店に行かせている。
「この段階で3人の女性を殺害したが、警察の捜査が自分に及ばなかったことで心の中で油断しました。失踪を装うことも考えましたが、Yさんを待たせていたので、工作せずにやってしまおうと思いました」
「腕や足を切り落とし、胴体の解体に入ろうとしていた」
それまでの3人の殺害は、悩みを深掘りし、長い時間話をしたところで、殺害に及んでいる。しかし、Dさんは部屋に呼んで1時間も経たないうちに殺害している。筆者との拘置所での面会時には「3人目以降はあまり覚えていない」と語っていたが、たしかに法廷での返答にも「記憶がない」「覚えてない」がそれまでよりも多くなった印象を受けた。Dさんのときも、これまでと同じように、背後から襲い、失神させ、レイプして、殺害している。
しかし、このときの遺体の解体は時間がかかっていた。長い時間がかかったため、朝を迎えてしまう。Yさんから翌朝、「何かありました?」とのLINEのメッセージが届く。しかし、白石被告は眠くなって、寝てしまっていた。このとき、まだ解体が終わっていないものの、Yさんが部屋まで戻ってきた。玄関先でYさんを迎えた白石被告は、部屋に入れる。