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チームを一度作れたら、日本人の能力が生かせる

――日本の大企業は、グローバル競争では不利だと知りながらダイバーシティが進まないのはなぜでしょうか。

 冨山 役員や管理職は、既得権益の塊ですからね。自社の弱点だとわかっても、おじさんたちのほうから席を空けることはない。これはもう、経営者が英断するしかない。しかしその経営者も、同質の組織で出世競争を勝ち進んだ人ですから、決断するのは難しいでしょう。既得権益ゲームの王様ですから。

 ただ、ラグビーの例と同様に、多様性を前提としたチームを一度作れたら、日本人はそこから緻密なゲームを作り上げる能力は高い。そのとき、はじめて日本的な敏捷性や勤勉性が生きるのです。転換する能力さえあれば、日本の会社が誇る改善改良力も武器になる。

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 コロナショックをむしろ新しい日本企業を作るエンジンにするつもりで、変化していかなければ勝ち残れないのです。

 いま私が懸念するのは、コロナショックでいよいよ企業が変化するチャンスにあるにもかかわらず、公的な補助などで延命する“ゾンビ企業”が日本中に生まれることです。コロナショックでも、中小企業を対象に2兆円を超える持続化給付金の予算(一次補正予算)が組まれました。コロナ禍で一時的に売上が下がった企業は、この給付金で復活できます。

一括採用にこだわる日本企業の未来は…… ※写真はイメージ ©️iStock.com

 もちろん適切な政策ですが、救われる中にはゾンビ企業が混ざっている。ゾンビ企業にお金をまわしても、従業員の賃金は上がらないし、非正規雇用も増えます。働く人たちまでお金は届かないので需要も増えない。

 そのようなゾンビ企業に縛られている従業員は数多くいます。働く人たちをゾンビ企業から解放することが、日本経済の回復には重要だと思います。(はじめから読む