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仏メディアも「なぜもっと抗議しないの?」学術会議問題、菅首相が“逃げ切れる”理由

2020/10/29
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仏メディアも「もっと強く抗議しないのか?」

 前述の外国特派員協会での会見ではより強く、「もっと強く抗議しないのか? 裁判に訴えないのか?」とラジオ・フランスの特派員が聞いた。

 早大院の岡田正則教授は、「これは学問と政治の問題であり、是正を求めるもの。問題の性格上、いきなり裁判ではなく……」と、同じく提訴には消極的だった。

 法律の専門家がこぞって「違憲」「違法」を主張しながら、裁判へ訴えることに消極的な姿勢。「手詰まりですね……」と記者が漏らしたのも、学問の自由への侵害という大義が繰り返されるばかりで、手をこまねいている印象を持ったためだ。

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©AFLO

 今回、学術会議が推薦した105人のうち99人は任命されている。10月14日の会見で、日体大の清水雅彦教授(憲法学)は、「任命された99人が就任を拒否する。私はそれぐらいのことをすべきだと思います」と訴えたが、そうした動きは見えていない。

 この問題は、モリ・カケ問題や桜を見る会、検察庁の人事問題などに比べて世論の盛り上がりに欠けている点もある。

 それには学術会議の存在が国民に遠いという原因もあり、ある教授は「言い方は悪いかもしれませんが、世論には反エリート主義があり、私たちへの嫌悪もあるでしょう。私たちの努力不足もありますが、メディアにも(追及を)お願いしたい」と漏らした。

 10月26日に臨時国会がはじまり、野党は学術会議問題を追及する構えを見せている。立命館大の松宮教授は会見で、国会での追及に期待すると共に「今後の内閣支持率がどう変わるかに注目しています」と話した。野党が国会で追及して内閣支持率が下がるのか、このままでは心もとない。

仏メディアも「なぜもっと抗議しないの?」学術会議問題、菅首相が“逃げ切れる”理由

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