今年もハロウィーンがやってきた。毎年、多くの仮装した若者らで大混乱する東京・渋谷だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大やクラスターの発生が懸念され、区が来訪の“自粛”を呼びかけていた。
スマートフォンの専用アプリに登録すると参加できる仮想空間「バーチャル渋谷」などで実際には街に来ないように、区もあれこれと策を講じていた。仮装してやって来る若者は例年より激減するはず……だった。
実際、午後7時、取材班が渋谷のスクランブル交差点を訪れてみると、人の数は多かったが、仮装した若者はまばらだった。むしろ、厳戒態勢とも言える大勢の警官の姿が目立った。
昨年のハロウィーンの時よりも警察官の数は明らかに増えている。さらに例年、区が設置している仮設トイレや着替えスペースは、今年は設けられていなかった。駅前には「HOME HALLOWEEN」や「今年のハロウィーンは、外出自粛モードで安全に!」などと書かれた看板や旗が提示されていた。
しかし、夜が深まってくるにつれて、仮装した若者の姿が多くなってきた。外出自粛が呼びかけられていたなかで、彼らはそれでもやってきた。その理由を聞くと、「鬼滅の刃」のキャラクター・イノシシ頭の「伊之助」の仮装をした25歳男性会社員はこう答えた。
「コロナでストレスが溜まっていたので、遊びに来ました。渋谷に着いて10分ぐらいの間に、何人にも声をかけられたので、とても楽しいです」