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昔はテープを巻き戻す時間が必要だった

――佐橋さんのギターによる冒頭が印象的な小田和正さんの「ラブ・ストーリーは突然に」は?

佐橋 それもなくなってしまったスタジオで……観音崎、三浦海岸のほうにあるスタジオで、いわゆる合宿スタジオみたいなところ。泊まりがけで何曲も一度に録音したうちの1曲でした。

――なるほど……で、それは音響ハウスではない、と……。

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佐橋 ぼくはここでのエピソードが少ないね(笑)。あれ? すごくここにいるのに。ここの出前表の店、全部知ってるくらい! そう、出前といえば、昔は、ちょっとした作業もすごく時間がかかって、ここで過ごす時間も長かったんです。だから、ここで取れる店屋物は、全部の店、食べたことがある。

 

 今はコンピューターで録ってるけど、昔はテープレコーダーで録音していたわけだから「2番のサビだけもう1回やらせてください」って言ったら、テープを巻き戻す時間があったわけです。今だったら1時間で済むことが、昔だったら3時間くらいかかった。巻き戻しだけでなく、有線で繋がなきゃいけなかったことがコンピュータの中で結線できる、みたいなことも含めて。

――そういえば映画にもそんな会話が出てきましたよね。昔は時間がかかったけど、という。

佐橋 そうなんです。

 

――妻である松たか子さんとの曲はいかがでしょう?

佐橋 松さんはよく音響ハウスで録音していますよ! 2017年末に出したアルバムも、ほとんど音響ハウス。

――佐橋さんが共同プロデュースした松たか子さんのアルバム『明日はどこから』(2017年12月6日リリース)ですね。

佐橋 松さんが、連続テレビ小説(2017年下半期「わろてんか」)の主題歌を担当したんです。そのお話をいただいたのをきっかけに、アルバムを一気に完成させた。それまでに曲のストックがあったんで「そろそろまとめなきゃ」というのもあって。そのアルバムの作業は全部音響ハウスでやりました。

――お2人のご自宅でも作業をされたりはしないんですか?

佐橋 このアルバムは、いろんな人に曲を書いてもらっていて(※1)、そういうやり取りはぼくがやってますし、松さんは譜面にも強いし、本人が作っている曲はコード進行も「それじゃない響きを」とか松さんが指示してその場で作っていけるので、共同作業は音響ハウスで完結しています。