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“死者を生き返らせるための儀式が屍姦行為だった” 1999年光市母子殺害事件犯人の言い訳

『私が見た21の死刑判決』より#10

2020/11/28

source : 文春新書

genre : エンタメ, 社会, 読書

note

下腹部からの異臭

 押さえ付けていたら、抵抗がなくなった被害者。しかし、気を失っただけかもしれない。あるいは、そうしたフリをして、隙をみて反撃に出るかもしれない。そう思った被告人は、横たわる被害者の脇に座って、

「両手をガムテープでグルグル巻きにしています」

「巻いたあと、口にもガムテープを貼っています」

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 それから、被害者が目覚める、あるいは気絶の振りを解くのではないかと思って、まずはトイレから持ち出したスプレー式のものを顔の前に掲げて噴霧する素振りをする。しかし反応はない。次に作業着の胸ポケットにあったカッターを顔の前に振り翳し、着ていたセーターと肌着を乳房のあたりまでたくしあげる。

©iStock.com

「当時、羞恥心という言葉は知りませんでしたが、恥ずかしいと身動きをするのではと思って、たくしあげました」

 しかし、反応はない。そこで肌着にカッターで切り込みを入れ左右に引きちぎる。反応はない。そして次にブラジャーに手をかけ、中央をカッターで切り開く。その挙句に、

「ぼくの右手で左の乳房を触り、右を口で吸ったりしています」

 それから、下腹部からの異臭に気付く。

「ウンチの異臭ですね」

「ぼくは、そのことが信じられない、殺す気はない、なんでこうなったのか、確認しようと」して、穿いていたジーパンを下にずらし、見えたパンティーをカッターで切り開く。するとそこに汚物が確認できた。

「母親が自殺して亡くなった状態と酷似していて、母が亡くなった状態と重なり、うめき声をあげてそこに立ち上がってます」

 そして、このあとだった。

「廊下に弥生さんの幽霊を目撃いたした次第であります」

 これが、ドラえもんや小説への伏線だった。