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死者に対する姦淫行為の意味
そんなことを聞かされる側も、どう受け止めてよいのやら、困ってしまう。
さらには、死者に対する姦淫行為を、こう意味付けるのだ。
弁護人が聞く。
──姦淫行為に対する気持ちはどういうものでしたか。
「生き返って欲しいという思いですね」
──それはどうつながるのですか。
「山田風太郎の『魔界転生』を読んで、姦淫行為をすること、精子を女性に入れることで、復活の行為ができるとありました」
──死体に精子を入れることで生き返ると?
「その通りであります」
──それまでに女性との性交渉は?
「経験ありません」
そしてこう続けた。
「ぼくの中では、姦淫行為というより、お母さんと長い間いっしょにいたかったとありまして、膣の中に──当時、膣という言葉も知りませんでしたが、ぼくの勃起したチンチンを入れて、すぐに射精したということもありません。どの時点か、射精はしとります」
死者が生き返る、そのための儀式が精子の注入、屍姦行為なのだった。それも、小説が教えてくれたこと。
しかし、死者は甦ってはいない。
ドラえもんも助けてはくれなかった。