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“死者を生き返らせるための儀式が屍姦行為だった” 1999年光市母子殺害事件犯人の言い訳

『私が見た21の死刑判決』より#10

2020/11/28

source : 文春新書

genre : エンタメ, 社会, 読書

note

死者に対する姦淫行為の意味

 そんなことを聞かされる側も、どう受け止めてよいのやら、困ってしまう。

 さらには、死者に対する姦淫行為を、こう意味付けるのだ。

 弁護人が聞く。

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 ──姦淫行為に対する気持ちはどういうものでしたか。

「生き返って欲しいという思いですね」

 ──それはどうつながるのですか。

「山田風太郎の『魔界転生』を読んで、姦淫行為をすること、精子を女性に入れることで、復活の行為ができるとありました」

©iStock.com

 ──死体に精子を入れることで生き返ると?

「その通りであります」

 ──それまでに女性との性交渉は?

「経験ありません」

 そしてこう続けた。

「ぼくの中では、姦淫行為というより、お母さんと長い間いっしょにいたかったとありまして、膣の中に──当時、膣という言葉も知りませんでしたが、ぼくの勃起したチンチンを入れて、すぐに射精したということもありません。どの時点か、射精はしとります」

 死者が生き返る、そのための儀式が精子の注入、屍姦行為なのだった。それも、小説が教えてくれたこと。    

 しかし、死者は甦ってはいない。

 ドラえもんも助けてはくれなかった。

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