文春オンライン

“景色”を肴に呑む開放感抜群の「見晴らし酒」…新神戸駅徒歩20分の老舗茶屋が酒場マニアを虜にしている

“若手飲酒シーンの旗手”が徹底レポート!

2020/11/21

genre : ライフ, グルメ

note

 那智の滝、華厳の滝と並んで「日本三大神滝」の一つにも数えられる「布引の滝」。その滝を眼前にしながらのんびりとお酒を飲めるのが「布引おんたき茶屋」だ。……と、そう書くと険しい山道を登った先にようやく見つかる場所のように思われるかもしれないが、アクセスはかなり便利である。

新神戸駅から徒歩20分でたどり着ける至極の“酒場”

 山陽新幹線の停車駅であるJR新神戸駅から徒歩20分ほどでたどり着けるのだ。ということはつまり、東京駅で新幹線に飛び乗って3時間後に「布引おんたき茶屋」で瓶ビールを飲むことも可能だということになる。

 新神戸駅には神戸市営地下鉄も乗り入れているのだが、地下鉄の駅の案内板には新幹線と布引の滝が並んで表示されている。

ADVERTISEMENT

新幹線か滝か。よく考えたらすごい二択だ

 そのままJR新神戸駅の構内を抜けて歩いていく。

JR新神戸駅構内の様子。エスカレーターで上っていった先は新幹線の乗り場だが今日の目的はそっちではない

 駅から外に出ると布引の滝へ向かう方向が大きな文字で示されている。

駅から一歩踏み出せばもう滝へと向かう道なのである

 JR新神戸駅のすぐ裏手には六甲山系の山々が迫っている。しばらく斜面を歩いていく。

右手に見える建物がJR新神戸駅の駅舎だ

 5分も歩かないうちに石造の砂子橋(いさごばし)が見えてくる。

「布引水源地水道施設」の一つとして重要文化財にも指定されている砂子橋

 橋の上からの眺めはすっかり山あいの風景といった感じで、さっきまで駅の構内を歩いていたとは思えないほどである。

この時点でもうすでに空気が美味しい気がする

 布引の滝は「雄滝(おんたき)」「雌滝(めんたき)」「夫婦滝(めおとだき)」「鼓ヶ滝(つつみがだき)」という4つの滝の総称だ。このうち、一番規模が大きいのが雄滝。急な石段を登って一気に雄滝を目指すルートもあるが、ここは焦らずに雌滝の姿も目に入れておこう。

雄滝へと急ぐ人は右手の石段を登るべし

 しばらく歩いた先に雌滝が現れた。水量は少なく控えめな滝ながら、周囲の木々と調和している様がなかなか美しいではないか。

白く静かに流れ落ちる雌滝

 さて、雌滝から雄滝を目指すには、先ほどは選ばなかった急な石段に途中から合流して上っていくことになる。

この急な石段が布引おんたき茶屋への道のりの中で最大の難所かもしれない

 はあはあと息を切らしながら頑張って歩くとようやく雄滝が見えてきた。

ジャーン!というにはちょっと水量が少なかったこの日の雄滝
こちらは以前訪れた時に撮影したもの。水量によって景色の見え方も違う

 取材時の雄滝にはゴウゴウと音がするほどの迫力はなかったが、ごつごつと荒々しい岩肌の間を滑っていくように滝が流れる様子が綺麗だった。