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2020/11/18

北朝鮮はアメリカの政権発足時に動く

 バイデン政権は、事実上の核保有国である北朝鮮に対し、好むと好まざるとにかかわらず、そして、遅かれ早かれ、経済制裁緩和を材料に軍縮交渉を開始せざるを得なくなるだろう。なぜなら、バイデン政権が北との交渉に臨む姿勢を見せなければ、北は2009年のオバマ政権や2017年のトランプ政権の発足時のように、核実験やミサイル実験を強行する可能性があるからだ。

 経済制裁と自然災害、コロナ禍の三重苦にある北朝鮮は、核ミサイル実験で地域の平和と安定をあえて乱して、日韓を中心に周辺国をびびらせ、「平和を望むならば交渉せよ」と外交交渉の主導権を握ろうとするだろう。

 バイデン氏は10月22日開催の大統領選最終討論会で、「トランプが悪党のお友達と仲良くしている間に高性能なミサイルを手に入れてしまった」「(金正恩委員長と会談する条件として)核能力の縮小に同意することだ。朝鮮半島を非核地帯にすべきだ」と述べた。

 核能力の縮小、つまり、軍縮に同意すれば、バイデン氏は金委員長と会談する意思もあるということだ。

金正恩氏とトランプ氏 ©AFLO

 さらに、前述の「フォーリンアフェアーズ」3月号では、「北朝鮮については、われわれの交渉人の権限をもっと高め、同盟国や中国を含む関係国と協調して、北朝鮮の非核化という共有目的のための、持続的で調整されたキャンペーンを一気に展開する」とも述べている。トランプ大統領のようなトップダウンではなく、外交当局者を中心にボトムアップ式の外交交渉を進めていく構えだ。

 また、北朝鮮ウォッチャーの多くが、バイデン政権はオバマ政権時代にとった、北朝鮮問題を意図的に放置する「戦略的忍耐」には戻れないとみている。北朝鮮の核ミサイル能力が米本土を攻撃できるほど、はるかに向上したため、無視できなくなったためだ。

韓国はバイデン当選にホッとしている

 韓国の文在寅政権は、在韓米軍の駐留経費負担をめぐる極端な要求のほか、韓国から米軍を撤退させるというトランプ大統領の脅しに直面してきたため、トランプ再選がなくなってホッとしているはずだ。

 トランプ政権は2018年、韓国に対して、駐留米軍受入コストの年間の負担額を増やすことを要求し、韓国は前年の8億ドルではなく約10億ドルを支払うことで合意した。しかし、トランプ大統領はこれに満足せず、2019年には5倍の50億ドルの負担を求めた。韓国がこれを拒絶すると、米側は負担額を13億ドルに増やすことを提案している。