昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

デジタルのメリーゴーラウンドにぐるぐる回されてしまうのは簡単だ

 会社である文章を書いている最中だとしよう。チャットの着信音が聞こえ、スマホを手に取りたい衝動に駆られる。何か大事なことかもしれない。やはりスマホを手に取り、ついでにさっきフェイスブックに投稿した写真に新しい「いいね」がついていないかどうか素早くチェックする。すると、あなたの住む地域で犯罪が増加しているという記事がシェアされている。その記事をクリックし、数行読んだところで、今度はスニーカーのセールのリンクが目に入る。それにざっと目を通そうとするが、親友がインスタグラムに新しい投稿をしたという通知に中断される。さっきまで書いていた文章は、すでに遥か彼方だ。

 ここであなたの脳は、数十万年かけて進化した通りに機能しているだけだ。チャットの着信のような不確かな結果には、ドーパミンというごほうびを差し出す。そのせいで、スマホを見たいという強い欲求が起こる。脳は新しい情報も探そうとする。特に、犯罪事件の記事のように感情に訴えてくる、危険に関する情報を。アプリのお知らせは、社会とつながっていると実感させてくれる。脳は、あなたの話に他人がどう反応したか──投稿につく「いいね」──にも集中を注がせようとする。

©iStock.com

スマホが脳をハッキングする

 もともとは生き残り戦略だったはずの脳のメカニズムのせいで、人間はデジタルのごほうびに次々と飛びつく。それが文章を書く邪魔になるからといって、脳は気にも留めない。脳は文章を書くためにではなく、祖先が生き延びられるように進化したのだから。

 スマホが脳をハッキングするメカニズム、そしてなぜスマホを遠ざけておくのが難しいのか、これでわかっただろうか。

 私たちを虜にするスマホの魔力に、人間はどんな影響を受けているのか。『スマホ脳』では、様々なデータを元に分析し、その驚愕の実態と対応策を具体的に示した。現代人がデジタルライフから知らず知らずに受けている悪影響を取り除き、健康に生きるにはどうすればよいのか? ぜひ、本書を読んで考えてほしい。

 ※本稿はアンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(久山葉子・訳)を元に再構成しています。

スマホ脳 (新潮新書)

アンデシュ・ハンセン ,久山 葉子

新潮社

2020年11月18日 発売

この記事の写真(6枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー

関連記事