――なるほど。ロケの練習。
加納 あんまりやりすぎると嫌がられるんですけど。媚びてると思われて。
男芸人を一回やってみたいけど、芸人じゃないなら女がいい
――加納さん、男になりたいなと思ったことありましたか？
加納 うん……男芸人を一回やりたいというのはありますけど、芸人じゃなかったら女がいいかな。
――女芸人というくくりで見られないからでしょうか？
加納 というか、やれることもたぶん違うし。 小っちゃい時は（男になりたいと）思っていたこともあるけど、年々なくなりました。単純に、芸人になる前って、周り、おもんないじゃないですか。芸人になれたからおもろいやつと出会えたのでラッキーですけど、なってなかったらずっと「男が良かった」と思ってたかもしれないですしね。
――年々そういう気持ちはなくなってきた？
加納 そうですね。なんか超えますよね。オッサンよりオバハンのほうがおもろいしね。
――ああ。なんかわかりますね。
加納 オバハンのほうがおもろいですよね。何歳から切り替わるのか知らないですけど。
――閉経したら無敵になりそうな気もして。
加納 （笑）。最強ですよね。オバハン最強。
10年やったからこそ、自分の中での変化に気づけた
――じゃあ、女芸人でよかったなと思うことはどんなところですか？
加納 女芸人とつるんでる時に思います。こういうお仕事もそうですけど、ならではのオファーをいただくこともあるし。女芸人やから呼んでもらってることもある。
「女芸人やからよかった」はそういうことかな。女コンビやから他にないところを探せた部分もありますし。たぶん男芸人やったらもっと個性というものを考えなあかんのかなと思う。
――キャラとか？
加納 やし、やっぱり数が多すぎるから、どうオリジナリティーを出すかってもっとムズいと思いますね。
――何事もいい部分とマイナスな部分はあって、そういう差異を超越する「お笑い好き」という「志向」が、加納さんは最も大事と考えている。
加納 「あきらめない」っていうことより、たぶん粘って続けることで、自分の中で「あ、考え変わった」みたいなステージに出会えるのが、続けることの一個の意味かなと思いますね。考えを変えずに貫くというよりは、10年やったから自分の中での変化に気づけるというか。やめてから変わってももったいないじゃないですか。
――続けているからこそその変化に気付ける。
加納 「ストロング」であり続けることより、自分自身思いもよらなかった変化に立ち会えることの方が「ストロング」なんかなと思いますね。
撮影＝鈴木七絵／文藝春秋
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