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特集女芸人の今

「ブスいじりの是非より、結局はお笑いが好きかどうか」女芸人Aマッソ・加納が抱く「野望」

2020/11/28

genre : エンタメ, 芸能

「性別というものに、逆に縛られていたのかもしれない」と話す加納。「女性芸人」なのか「芸人」なのか、そんなとらわれから一歩抜け出た時、見えてきた全く異なる景色。女性芸人を取り巻く環境が変わっていく中で、加納自身もまた変わっていく。

 ブスいじりも非モテいじりも受け付けない「ストロングスタイル」は、時に大きな諍いや失敗を経験しながら、10年かけてようやく本当の「ストロング」にたどり着いた。(全2回の2回目/1回目から読む)

「Aマッソ」加納愛子さん

◆ ◆ ◆

「強いな」と思うのは、やっぱりやりたいことがあるやつ

――Aマッソさんは、(放送作家の)白武ときおさんの言葉を借りればずっと「ストロングスタイル」で勝負をしてきて、「ブスいじり」の外側にいらっしゃった気がして。そういういじりを受けてこなかった加納さんには、女性芸人への容姿いじりや非モテいじりはどういう風に見えているんでしょうか。

加納 たぶん……売れ方にもいろいろあって、売れる期間にもいろいろあって。例えば世間で言われる一発屋とか、ブスいじりされて出てきた芸人の中にもいろいろ種類はあると思うんですけど。私が「強いな」と思うのは、やっぱりやりたいことがあるやつなんですよ。結局お笑いが好きなやつが残るなって思います。そこの種類ではなくね。

 だから、別にブスいじりでも、ツッコミで種類を変えてお笑いを楽しんでるやつもおるし、「誰がブスやねん」だけでサボってずっとしんどい思いをしてるやつもおるし。笑いの種類というよりは、好きかどうかなのかなって。なんか極論みたいでちょっと嫌なんですけど。

――お笑いが好きかどうか。やりたいことがあるかどうか。

加納 むちゃくちゃ単純な話で、「誰がブスやねん」で戦ってるやつでも、飲みに行ったらめっちゃおもろいやつはおるし、別にそれで戦ってないけどむっちゃおもんないやつもおるし。単純なことのような気がするんですけどね。テレビではそうはいかないかもしれないですけど、やっぱり芸人って誰がおもろいか知ってるし。世間の評価に関わらず。

 誰がどれぐらいお笑い好きかって、絡んだら分かるんですよ。「こいつ、あんまり好きちゃうな」って思う時あるんです。やっぱりそっちのほうが嫌悪感がありますね。戦ってる内容よりは。

 

――お笑いを「手段」にされるのが嫌なんですね。

加納 私は嫌ですね。“好き風”にやってるやつ。絶対頑張られへんようになるのは分かるし、はよ上がりたいと思ってるやん、っていう。このボケなあかんステージ、はよ上がりたいと思ってるな、みたいなやつとは、あんまり付き合っても得はないと思うかな。そういうやつはテレビでむっちゃ頑張るんで、世間は気づかないと思うんですけどね。