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 その国がモノ作りの国なのかそうでないのかは、貿易収支の動向に端的に示されます。

 財務省が発表した2019年の貿易収支は2年連続で赤字でした。

日本はもはや多額の貿易黒字を計上する国ではない

 米中貿易戦争の影響で輸出額が前年比5.6%のマイナスとなり、これが大きく足を引っ張りましたが、貿易収支の動向についてもう少し長いスパンで見ると、日本はもはや多額の貿易黒字を計上する国ではなくなっていることがよく分かります。

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 日本は戦後、ほぼ一貫して貿易黒字を計上しており、特に1980年代以降については、毎年、10兆~15兆円もの黒字額となっていました。しかし、2000年代半ばから黒字が減少し、2005年には貿易黒字と所得収支(海外への投資から得られる投資収益)が逆転しています。つまり日本は、この頃を境にすでに輸出ではなく投資で稼ぐ国になっていると解釈すべきです。

 日本のGDPに占める輸出の割合は18.3%ですが、輸出立国の典型であるドイツ(46.1%)と比較するとかなり低い数値です。

 フランスには輸出立国というイメージがあまりありませんが、それでもGDPに占める輸出の割合は日本よりもはるかに高く31%もあります。数字だけを見ると、日本は世界でも突出した消費大国である米国の水準(12%)に近く、もはや輸出国とは言えないというのが正しい認識でしょう。

輸出大国である前提のもと議論が重ねられている

 しかし、国内ではいまだに輸出大国であることを前提にした議論が多く、政府の支援策も輸出企業を対象としたものが少なくありません。

©iStock.com

 実はインバウンド需要やオリンピックへの期待というのも、形を変えた輸出です。

 外国人観光客の買い物は確かに日本国内で発生していますが、購入しているのは外国人ですから、製品を輸出して代金を受け取っていることと本質的な違いはありません。

 安倍政権は中国からのインバウンドを成長戦略の柱と位置付けていましたが、こうしたプランが出てくるのも、外国(あるいは外国人)にモノを売らないと経済が成長しないという、従来の価値観が大きく影響しているからです。

 しかし日本経済の現状は大きく様変わりしています。