“ここに住み続ける法的な根拠は何ですか?”という手紙
「今は夫は自宅を出ました。どこに住んでいるかは分かりませんが、多分ホテル暮らしではないでしょうか。彼は、私たちをこのマンションから追い出そうと計画しているようです……」
定期的に“ここに住み続ける法的な根拠は何ですか?”と、宛名を殴り書きした手紙が届く。最初のうちは手紙を受け取ると恐怖からパニック状態になっていたが、徐々に慣れてきたという。「今ではいい証拠集めくらいだと思うようになりました」
一緒に住んでいた時には、木村さんが集めた、夫に非があることが分かる証拠書類の数々を盗まれたこともあった。夫が書類から目を離した隙に奪い返した際は、「心臓がバクバクした」と話してくれた。
なかなかタワーマンションから退去しないことに腹が立ったのか、夫は木村さんを突然解雇した。今年6月の出来事である。解雇される半年前から体調不良による休職をしていたが、傷病手当金の手続きもしてもらえなかった。収入がない木村さんを支えたのは実母。わずかな年金から費用を捻出してくれているそうだ。
大金を積んで逃げ切ろうとしている?
現在はお互いの弁護士を通じて離婚の話を進めている。しかし、自分に非はないと言いながらも解決金に1000万円以上を提示してくるなど、夫からの主張は支離滅裂なものばかり。一般的な離婚では十分すぎる金額ではあるが、木村さんは納得できないという。
「彼は探られたくないことがあるはずです。だから大金を積んで逃げ切ろうとしていると思うんです」
具体的な内容は本人特定につながるため公表できないが、明るみに出ることで夫の立場が危うくなる問題があるそうだ。現在、この件も含め、解決に向けて進めている。
現在無職の木村さんだが、夫との離婚が成立した後はどのように暮らしていくつもりなのだろうか。
「同棲と言っても事実婚状態でしたから、その期間を含めると、夫からはまとまった金額が貰えるかと思います。そのお金を使って起業したり、自分の経験をまとめた自叙伝執筆にもチャレンジしていきたいと思っています。彼が買ったタワマンにも、もう住む気はありません」
これからも夫と全面的に争う姿勢を見せている木村さんからは、力強さを感じた。
成功者が集うタワーマンションの高層階。そんな華やかさの裏側には、ドロドロとした夫婦問題が潜んでいた。