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「そうだお前火傷していないか」

 茂さんは3階の救急病棟に運ばれました。

 電気が煌々とつき、人々が茂さんのために激しく走り回り何か叫んでいます。私は放心状態です。

 しばらくして茂さんの弟さんが来ました。

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 弟さんは「何があったの?」と聞きました。

「台所で私がお湯を移動しようとしたとき、火傷をして。お兄さんは先生と一緒に中にいるよ」

 知らず知らずのうちに涙が出てきてしまいました。

「大丈夫、大丈夫。もう病院にきたから泣かないで」

 しばらくして治療が終わったようです。医者から説明がありましたが、それは弟さんが全部聞いてくれました。

 やがて茂さんと面会ができることになりました。

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 ベッドの茂さんは上半身すべてが白い包帯でぐるぐるにまかれています。私は驚愕してしまい、涙をこらえることができなくなりました。

「お前(詩織のこと)何か食べたか? ○○(弟の名)、なんか買ってあげてくれ。まだなんにも食べてないんだろうからさ」

「そうだお前火傷していないか」

 私はまた涙を流し「茂さん早く治ってください」と声をかけるのが精一杯でした。

サッカーボールのように腫れあがった顔

 その晩、病院の空いたベッドで眠り、翌朝、再び弟さんと茂さんの病室を訪ねました。

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「おはようございます」と言った瞬間、私は目の前の光景にふたたび愕然としました。

 一夜明けて茂さんの顔はサッカーボールのように腫れあがっていたのです。どうしてこうなってしまったのかと涙が再びこぼれそうになりました。茂さんは顔が腫れあがっていたので目が開けられず、人の姿が見えないようで、声を頼りに手探りで私を探し、私の手をとって自分の掌の上にもっていきました。彼は心配そうに私に尋ねました。

「昨日、寝る場所はあったのか?」

「あったよ」

 涙声になりながら答えました。

「よく寝られたかい」

「ウン」〉