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一回冷静になって考える「Eテレ再編」問題 NHK改革議論で見失われている一番大切なこと

2020/12/10

 NHK・Eテレの再編についてにわかに盛り上がっている。内閣官房参与に起用された高橋洋一氏が提唱したNHK改革についてのアイデアだが、さまざまな観点があり、反対・賛成両方の立場がある。

 筆者は「短期的には賛成ではない」という立場だ。理由は主に価値判断の面から、その可能性をあまり評価していないからだ。

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高橋氏の主張を整理する

 高橋氏の主張は、主に以下の点に集約できる。

・NHKの高コスト体制を是正するために、Eテレ事業をNHKから切り離す
・教育面で必要ならばネットで対応。コンテンツは国が買い上げたり民間が担当したりする
・Eテレの放送をやめた結果生まれる帯域を携帯電話に使う

 この中で、感情的な面も含めた強い反発があったのが、「Eテレをなくす」と言う点だ。Eテレには優れたコンテンツがあり、その価値は失われていない。そのため、「NHKからEテレをなくすなら、NHKの視聴料を支払う意味はない」という反発にもつながった。

 高橋氏の構想はEテレを全部やめるというものではないようだが、さて、「国がやる」「民間がやる」で教育向けコンテンツが成立するのか、という疑問は残る。良くも悪くもNHK、特にEテレは独立した存在であり、それが番組バリエーションを生んでいる部分もある。

 だが、そこについて筆者は(強い疑問はもつが)根本的な問題ではない、と思っている。「全てをネットで代替する」「携帯電話などにテレビの帯域を割り当てる」ということが、短期的に現実的なのか、という点に疑問があり、そこがこの構想の問題だと思っている。

「プラチナバンド」だけに注目すると陥る5Gの落とし穴

 まず、「携帯に使う」という点。たしかに、地上波テレビ放送で使われていて、各家庭まで映像を届けている電波には、携帯電話で「プラチナバンド」と呼ばれていて、遠くまで届くので重要で使いやすい700MHzに近い帯域も含まれている、というのは事実だ。