文春オンライン

2020/12/20

あの名フレーズは小松さん考案ではなかった!

 ここで筆者がご生前、小松さんに取材させていただいた際に直接お聞きした、名作コント誕生秘話をひとつお伝えしよう。

「小松の親分さん」は、小松さん演じるヤクザの親分さんが、ザ・ハンダース演じる学生たちにバカにされ、ひどく落ち込む。伊東さん演じる子分が「ズンズンズンズンズンズンズン、小松の大(おお)親分♪」と囃し立てると(?)たちどころに立ち直るという趣向のコントだ。立ち直ったあとには、親分さんがシュールな応援歌を披露するのだが、そこで登場するフレーズが「ニンドスハッカッカー(マー)」、「ヒジリキホッキョッキョー(ガー)」というもの。他にもあるが、筆者には特にこの二つが胸に突き刺さった。

「小松の親分」CD(販売元:ファンハウス)

 ご本人に聞ける最大のチャンスを得た私は小松さんに聞いた。「“ニンドスハッカッカー”というフレーズは天才的ですが、一体どこから発想されたのですか?」、「いや、あれは僕が考えたんじゃないんだよ」と、しれっと答えられた小松さんに「えっ!?……じゃ、やはり放送作家さんが?」と思わず私。「いや、あれは僕の小学校のときの先生」とのお言葉に再びの「えっ!?」。しかも女性の方だったと仰るので二度びっくり。

©平松市聖/文藝春秋

 小松さんら生徒たちがテストでいい点を取ったりすると、その先生が本人を教壇の横に呼び出し、両手を両肩に交差させて「(穏やかな口調で)ニンドスハッカッカー、マー、ヒジリキホッキョッキョー、ガー」と、歌ってニッコリ。「生徒たちを激励するお遊戯だったんでしょうけど」と小松さん。「でも、でも“ニンドスハッカッカー”ってすごくないですか? どこから出てきたんでしょう?」と私。次の瞬間、小松さんのひと言が私の希望を打ち砕く。「さぁ、今となっては分からない。聞いときゃよかったネ(苦笑)」。とうとうこの名フレーズの源泉は永遠の謎となってしまったが、少なくとも原作者が分かっただけでもよしとしよう、と、心の中で打ちひしがれた自分に言い聞かせた。