――高齢出産でよかったことはありますか?
上原 それは本当にありますよ。母親は、子どものちょっとした変化に対して、「この状態だったら、こんな方法をとってみよう」とか、「じゃあ明日お医者さんに行こう」とか、毎日選択肢を選ばなきゃいけない。もし私が20代前半だったら、離乳食の選択ひとつとっても、アイデアが今ほど浮かばなかったと思うんです。
知識もなければ、精神的にも余裕がない。だから絶対、出産は今でよかったって思います。私の場合は20代前半で子どもを産むよりも、高齢で産んだ“今”がお母さんになれるタイミングだったんだと思います。育児に使える知識も、たくさん持つことができました。
43歳だからこそ教えられること
――43歳だからこそ教えられることとは、どんなことですか?
上原 赤ちゃんって、当たり前ですけど嘘をつく感覚を全く持っていなくて、自然で無垢ですよね。そのまま育てて、「世の中悪い人いないんだよ」って優しく育てるよりも、私は「世の中って、気の合わない人だらけなんだけど……」って冷静に教えられると思う。それが高齢出産で良かったところです。若かったらそう上手に教えられないですよね、「世の中は鬼のような、悪魔のような人がいっぱいいるよ」って。
でも、それだけじゃダメ。いま43歳だから「世の中には鬼みたいな人もいるけど、そうじゃない人もいる。どうやって“そうじゃない人”を見つけるのかが大事」とか、「自分にとって悪魔みたいな人も、他の人にとっても悪魔かどうかはまた別の話だよ」とか言える。人との付き合い方については43歳だからこそ、子どもに上手に説明できるって思います。さすがに「誰も信用するな」とまでは言いませんが(笑)、ものすごく慎重に教えることができるんじゃないかなって。