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韓国国民の心が離れていく…不正追及の検察と真っ向対立、文大統領の“大誤算”

2020/12/22

「懲戒(処分が出た)翌日に、(文)大統領狙った尹(検事総長)の戦争」(韓国日報、12月18日)

 12月16日、停職2カ月という、韓国憲政史上初の懲戒処分となった尹錫悦検事総長がこれを不服として翌17日、行政裁判所に「懲戒処分の執行を停止する仮処分申請」を提出した。被告は秋美愛法相。だが、文在寅大統領を相手にした訴訟という見方が大勢で、その結果がまもなく出ようとしている。

 最後に勝つのはどちらか、と報じる韓国メディアもあるが、果たしてその結果がもたらすものとは何の勝敗なのだろうか。

尹錫悦検事総長 ©韓国大統領府

記者もあきれた懲戒事由

 2度延期された法務省の検事懲戒委員会が始まったのは12月15日午前。新聞の翌朝刊の締め切りまでには結論は出ず、停職2カ月の懲戒処分が出たのは日をまたいだ16日未明だった。法曹界からは「法治主義の崩壊」と激しく抗議する声が上がっている。

 同日、秋法相は辞意を表明したが、「一連の責任をとって、という表向きの理由の裏には自身の辞意により尹検事総長に辞意を促した、また、そうした雰囲気を作り出す目的があったとみられています」と中道系紙記者は言い、こう続ける。

「しかし、停職2カ月の処分事由は、コメディをやっているのかと思うほど、あきれた内容ばかり。出来レースで解任にするはずだったのが世論の猛反発に押されていったん停職とし、法相と同時に辞意させるシナリオにかえたのでしょうが、尹検事総長をここでも読み間違えた」

 記者があきれたという、尹検事総長を停職2カ月とした懲戒事由は4つ。1. 曺国前法相などの裁判を担当する裁判所の判事の情報を不当に収集し(検事に)配布し、2、3. 保守系メディアと検事(尹検事総長の側近といわれる人物)関連事件では監察や捜査を妨害し、そして、4.政治的中立に関して不適切な言行があったとした。

 判事の情報を収集した点については、当の裁判所側が裁判官会議で議題にすらせず、検事と保守系メディア関連での監察や捜査妨害については現在係争中で結論は出ていない。また、政治的中立については、10月の国会で「社会と国民のためにどう奉仕できるか、その方法をゆっくりと退任してから考えてみる」と話した答弁が問題視された。

 これは、世論調査で次期大統領候補として名前が挙がっていることなどを挙げて「総長の任期を終えた後、政界入りする考えはあるか」という質問に答えたもので、質問自体が恣意的なもの。しかし、与党は、尹検事総長の政界進出を警戒しており、「(政治的中立を保つために)世論調査から名前を抜いてくれと積極的に動くべきだった」というのが、懲戒処分の事由になった。